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秋田建設工業新聞社
2024/10/02

【秋田】伊藤忠商事ほか、船舶輸送で秋田県沖にCО2を貯留/CCS構想、受入基地に秋田・船川港

 伊藤忠商事株式会社を代表とする日本海側東北地方CCSコンソーシアムは、5年度に「先進的CCS(CО2の分離回収・貯蓄)事業」として採択された日本海側東北地方CCS事業構想における現時点の調査・検討結果をまとめた。同事業は、日本製鉄の九州製鉄所大分地区と、太平洋セメントグループのデイ・シイ川崎工場から分離回収したCО2を、船舶輸送で本県沖に地下貯留する構想。CО2の受入基地候補地として、秋田港と船川港を選定している。

 5年度の「先進的CCS事業」は、独立行政法人エネルギー・金属鉱物資源機構(JОGMEC)が実施に係る調査を公募。採択された7事業について先月26日、イイノホール&カンファレンスセンター(東京都)で成果報告会が行われた。7事業のうち伊藤忠商事など7社が提案した「日本海側東北地方CCS事業構想」は公募時、本県を含む日本海沖を想定貯蓄エリアとし、船舶やパイプラインで輸送、製鉄所やセメント工場などから排出されるCО2を全国的にカバーする広域事業としていた。

 報告会では、2030年度までのCО2貯留開始に向けて実施した調査内容について検討結果などを報告。事業について、九州製鉄所大分地区から年間約100万t、デイ・シイ川崎工場から年間約50万tのCО2を回収(精製)・出荷し、秋田港と船川港まで輸送して一時貯蔵した後、本県沖に地下貯留すると説明した。

 貯留対象エリアは離岸距離約20km、水深100〜400mで、CО2を遮蔽できる帽岩からなる「笹岡層」を貯留対象層として調査。圧入シミュレーションによる貯留層評価では、目標とする圧入量を達成可能と評価し、長期にわたりCО2を留めることができるとしている。

 受入基地には秋田港と船川港を選定。貯留候補地からの距離や、必要な敷地面積を考慮した。港から海底パイプラインを使用してCО2を貯留対象エリアに運ぶ。

 また、地元インセンティブの観点から、本県のごみ焼却場等から発生するCО2についても分離・回収し、CCS事業に組み込むことも検討。タンクローリーで受入基地に輸送し、船舶輸送したCО2と合わせて圧入する系統構成を決定した。今後は、ごみ処理場を管轄する自治体と協議を行い、事業の具体化を図る方針。

 先進的CCS事業は、2050年カーボンニュートラルの実現に向けたCCS事業の本格展開のため、2030年までの事業開始と事業の大規模化、圧倒的なコスト削減を目標とするもの。日本海側東北地方CCS事業構想は今年度、JОGMECが公募した「先進的CCS事業に係る設計作業等」にも選定されている。

提供:秋田建設工業新聞社