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日本工業経済新聞社(群馬)
2024/10/01

【群馬】時間外労働の上限規制適用後の状況で調査 群建協


群馬県建設業協会(青柳剛会長)は1日、時間外労働の上限規制適用後の状況に関するアンケート調査について結果を明らかにした。問題提起を始めた2022年10月以降に働き方改革に取り組んだ企業が9割を超えるなど、上限規制に備え意識改革を早い段階で実現している一方、『工事コストの上昇』『工事の生産性低下』といった課題が浮き彫りとなった。調査結果を受け青柳会長は「働き方改革は地域全体で」の考えを示すとともに、現場管理の効率化に向けたデルタモデルを公表した。(※4〜5面にアンケート結果掲載)
群建協では本年度、「しっかり働きゆっくり休む」を行動指針に掲げ、働き方改革の推進に取り組んできた。こうした状況の中、4月から適用された時間外労働上限規制の適用から約6カ月が経過したことを受け、会員企業の現状や課題を把握するためアンケート調査を実施した。
調査結果について青柳会長は「工事コストの状況や工期の問題など、働く時間が地域全体で減ってきたことによって浮き上がってきた問題点など、これからの意見交換会などでしっかりと発言していく必要がある」と述べた。また、「働き方改革は地域全体で」を大テーマとし、◇協調領域のDX拡張◇労務単価の引き上げと歩掛の見直し◇受発注者間の業務の洗い出しとスリム化の徹底−の3点について提言・要望をまとめた。
このうち「協調領域のDX拡張」については「現場管理効率化のデルタモデル」という考え方を提示。青柳会長は「建設キャリアアップシステムや建退共など、電子化されたものを連携することによって、初めて基礎基盤が確立し、現場管理が向上する」とした。加えて「労務安全書類の電子化もデータ基盤に組み込むことによって、効率化でき、仕事量の軽減に繋がる」と話すと「こうした協調領域のDXが拡張、加速化することで、現場担当者や経理事務の負担が軽減される」と考えを示した。その上で「地域の建設業として進めていくように、国や県に提言として発表していきたい」と強調した。
アンケートでは、働き方改革実現に関するアンケートを始めた22年10月以降の取り組みとして「時間外労働の上限規制を踏まえ、働き方改革に取り組んでいるか」を質問したところ『はい』に91%、223社が回答した。このうち、具体的な取り組みとして『時間外労働の削減』を実行した148社が最多。次いで『現場への直行、直帰を推進』81社、『正確な勤怠管理』77社となった。一方で、22年10月以降の取り組みで『いいえ』を選んだ21社のうち10社は、既に働き方改革を実施済みと回答。全く取り組んでいない企業は6社と少数だった。
「上限規制が適用となり、どのような課題が発生したか」の問では、『工事コストの上昇』が最も多く43%。次に、『生産性の低下』が38・1%となっているが、まだ繁忙期でないことから課題が発生していないという回答も多かった。具体的な生産性低下の内容として『日当たり作業量の減少』『工事工程の延伸』『書類作成の時間不足』が上げられた。良かった点は社員の労働環境改善の面が多く、生産性が向上したとの回答は少なかった。こうした状況を解決するため国、県に望むこととして、『設計労務単価の引き上げ』『現場管理費、一般管理費の引き上げ』『工事書類の簡素化』『適正な工期設定』の項目に対する回答が多くなっている。
「22年10月以降、上限規制に備えてどのような法的対応を行ったか」の質問には、『就業規則の見直し』や『特別条項付36協定の締結』を行っているとの回答が多いものの、何もしていない企業も61社ある状況だった。
このほか、自由回答で「生コン打設に関しては上限を超える作業が多々あることから、作業計画が成り立たなくなる可能性がある」「労働時間の規制により職員の増加・技術向上・賃金引上げ等がスムーズ行えれば問題がないが、どれを取っても大きな課題となっている」「歩掛の大幅な見直しが必要だと思う」といった声が上がった。
調査は8月26日〜9月9日まで実施。本部会員276社のうち回答社数は244社(回答率88・4%)となった。