佐藤工業の第94期定時株主総会が26日、富山市の本店で開かれ、2024年6月期の事業報告などが決議された。
第94期は、コロナ禍で停滞していた国内建築の設備投資需要が回復したことなどを受け、連結および個別(単体)ともに増収増益となった。
連結子会社7社を含む連結決算によると、売上高は前期比2・8%増の1617億円。利益は売上総利益が同16・1%増の121億円、営業利益が同120・6%増の24億円、経常利益が同109・2%増の46億円、親会社株主に帰属する当期純利益が同105・6%増の29億円だった。
単体(個別)決算は、受注高が海外土木の反動減により、同2・1%減の1484億円(海外工事186億円含む)。内訳は土木479億円(前期実績783億円)、建築982億円(同718億円)、兼業21億円(同14億円)。比率は官庁23・4%、民間76・6%。特命比率38・6%。
海外工事214億円を含む売上高は、同3・3%増の1515億円。土木は前期の581億円から692億円に増えた。売上総利益は同18・3%増の112億円、営業利益が同154・2%増の24億円、経常利益が同124・3%増の44億円、当期純利益が同104・3%増の27億円。
一方、第95期の連結事業計画は、売上目標を前期比16・0%増の1876億円に設定。利益は売上総利益が同16・8%増の141億円、営業利益が同61・8%増の39億円、経常利益は同13・2%減の40億円に定めた。
単体は、受注高が同7・4%増の1594億円、売上高が同14・4%増の1734億円、経常利益が同22・0%減の34億円と見込んだ。
2000億達成へ生産性の向上を/能登災害「できる限り支援」/平間社長
株主総会後、本店で開かれた記者懇談会には、同社の平間宏代表取締役社長をはじめ、川島康広専務執行役員北陸支店長、高橋建夫常務執行役員社長室長、福嶋篤志執行役員社長室長代行兼経営企画部長が出席し、決算概要を説明した。
平間社長は今期決算を振り返り、「前期は利益面が良くなかったが、物価高騰に伴う価格転嫁がうまく進み、売上の増加により利益がある程度確保できた」と話し、「国内建築は、コロナで止まっていた物件がかなり動き需要が旺盛。物価上昇の影響が大きい、海外建築を補う形でうまくいっている」と述べた。
来期は、「建築は物価上昇の問題はあるが、今は景気が良く需要は多い。土木も国土強靱化や能登半島地震、原発関連など結構見込める」との見通しを語った。
95期が最終の中期経営計画に関しては、「手持ち工事の多さを考えると今後、労災事故などがなければ、達成の確実性はかなり高い」とした。
さらに、「将来的に連結で売上高2000億円を目指している。施工の人員体制は、協力会社を含めてひっ迫しているが、仕事を選別して売上を伸ばしたい。また、現場の作業負担軽減に向け、つくば市の技術センターに移管する業務も増えつつあり、さらに施工の生産性を上げていく」との意気込みを述べた。
石川県能登半島の災害復旧に関しては、「弊社は富山発祥で能登は非常に近い。地震の応急復旧に続き、今回の豪雨災害でも緊急要請を受け、輪島で道路啓開作業に取り組んでいる。今後もできる限り支援したい」と話した。同社北陸支店が事務局の富山市桜木町地区第一種市街地再開発事業については、「にぎわいのある施設を望む声など、いろんな要望がある。合意が得られるよう、様々な方々と意見交換しており、かなり煮詰まってきた」と説明。