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日刊岩手建設工業新聞社
2024/09/25

【岩手】岩手県建設業協会 公共事業予算の確保やバランスある発注を 県との意見交換を実施

 県土整備部と県出納局、県建設業協会(向井田岳会長)による24年度の建設業における課題等に関する意見交換会が20日、盛岡市のサンセール盛岡で開かれた。県内の建設業や地域を取り巻く課題などをテーマに意見を交わした。建協側は、地域建設業の存続に向けた公共事業予算の安定的・持続的な確保をはじめ、各地域、各等級のバランスを見極めた工事発注などを要望。内水氾濫対策など、国土強靱化の計画的な推進も呼び掛けた。

 意見交換会には、県側から、岩ア等技監兼県土整備部河川港湾担当技監をはじめ、同部建設技術振興課の久保田和憲総括課長、出納局総務課の千葉三男特命参事兼入札課長ら幹部職員が出席。建協側からは、向井田会長をはじめとする正副会長や県内13支部の支部長らが出席した。

 岩ア技監はあいさつで「県内建設業の振興に向けて、歩みを進めたい。皆さんからのご意見をいただき、今後の県の施策検討に生かしたい」、向井田会長は「現場の実態を踏まえた制度が重要だ。協会全体として、県民の安全・安心の確保のため、災害対応や防疫対応などに力を尽くしたい」と述べた。

 はじめに県側は、24年度の建設業地域懇談会で出された県内各地域の主な意見のほか、建設キャリアアップシステム(CCUS)活用の取り組み、県土整備部週休2日工事実施要領の改定の概要などを説明。週休2日工事に関しては、10月の積算基準改定に合わせた変更点を紹介した。

 意見交換の中では、須田光宏副会長が協会員数の減少に触れ、「経営見通しが立たなければ災害対応も困難になる。事業費の確保と、地域・クラスのバランスある発注が重要」と指摘。金利の上昇が見込まれる点や物価が高止まりしている現状などを踏まえ、公共事業予算を増額し、実質的な工事量を確保するよう求めた。

 樋下光盛岡支部長は「本県でも台風5号や、観測史上最大の雨量を観測する大雨など、災害が頻発している。内水氾濫の被害が深刻だ。広域での抜本的な対策が必要ではないか」と国土強靱化の重要性を指摘。久保田総括課長は「これまでのペースを緩めることなく強靱化を推進できるよう、国に対し、必要な予算・財源の確保を要望していく」と述べた。
 山本昭人副会長は、資材価格の高騰などに伴う適正な設計積算を要望。海野尚副会長は現場とのコミュニケーションの促進や、ワンデーレスポンスの重要性を再確認した。
 橋健二奥州支部長は「建築関係で不調不落が散見される。資材などの価格設定が合わない案件もあるのでは」とし、適正な単価設定や柔軟な変更対応を要望。県側は「市場動向などを注視し、適正な予定価格を設定する。発注時にもしっかりと確認したい」などと回答した。
 小山裕昭千厩支部長は「少なからず、設計図書と現場の状況に乖(かい)離が見られる工事がある」とし、設計書の精度向上や変更協議における柔軟な対応を求めた。
 岩瀬張敏行久慈支部長は、支部会員が総力を挙げて豚熱などの対応に当たってきたことに触れつつ、「若い人が建設業に入らず、災害対応が厳しくなっている。若者の入職促進のため、建設業の対応とともに、魅力的な職場であることを発信してほしい」と話した。
 このほかにも、坂本昌彦二戸支部長は各クラスの業者数を見極めた均衡ある発注や施工実績の設定期間の延長、佐藤東副会長は入札案件での参入見込者数の見直しなどを要望。須賀芳也大船渡支部長は、盛土規制法に係る情報に関して、市町村や民間に周知するよう求めた。

 向井田会長は「全体の公共事業費が減少する中、国土強靱化予算は地方にとって重要だ。県内で強靱化が必要な箇所はたくさんある。柔軟に対策を検討し、国に予算要求してほしい」と要望。

 岩ア技監は、防災・減災、国土強靱化のための5か年加速化対策が最終年度を迎えることを踏まえ、「国に対し整備効果などをアピールし、予算の確保や国土強靱化実施中期計画の策定を働き掛けていく」と述べた。

提供:日刊岩手建設工業新聞