九州地方整備局鹿児島国道事務所は、南九州西回り自動車道「阿久根川内道路」整備で事業費が135億円増額となり、全体事業費は1185億円となることが分かった。物価上昇や労務費の増、施工条件変更等が主な要因。阿久根市と薩摩川内市側から工事に着手し次の区間として、大川〜湯田西方間(7.8km)で用地測量と物件調査を進め、用地買収を行いたい考え。2023年度末の用地進捗率は約40%となっている。
事業費の増加要因のうち、施工条件変更に伴うものは阿久根〜西目間で地山に約1〜4mの転石が多く含まれていることが判明。路体盛土として利用するためには約0.3m程度まで小割を行うことが必要になり13億円の増額。
埋蔵文化財は現地調査の結果、調査範囲の追加や出土品が多く発掘されたため費用(2億円)が加わった。
トンネル工事でガイドラインの改定により、切羽の変状等を常時監視する責任者のほか、肌落ち防止対策は地山等級C、Dとなる箇所の鏡吹付けコンクリートの追加により約5億円の費用をプラス。物価上昇による資機材と労務費等の増加分は、116億円で今後も単価の上昇が継続する場合、さらに費用増加が見込まれる。
コスト縮減は当初、機能復旧を目的に跨道橋を計画していたが地元協議の結果、迂回する事で機能を満足するため、交通道路を集約する計画により1億円を削減。
同道路は阿久根市鶴川内の阿久根ICから薩摩川内市水引町の薩摩川内水引ICに接続する延長22.4kmの自動車専用道路で、大川〜湯田西方間は23年10月に設計説明会、24年2月までに用地幅杭設置が完了。4月からは用地調査に着手した。
25年度以降の残事業費(4車線)は、橋梁が100m以上(PC橋9橋、鋼橋3橋)320億800万円、100m未満(PC橋3橋、鋼橋9橋)36億2700万円、改良費は237億4900万円、トンネルは102億2600万円(3本)、間接経費(地質調査、測量、設計等)は85億9000万円−など計970億4600万円を試算している。