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建設経済新聞社
2024/09/20

【京都】京町家条例制定から約7年 保全・継承の取組総点検へ

 京都市は、平成29年11月に京町家の保全及び継承に関する条例(京町家条例)を制定し、京町家の解体に係る事前届出制度など、京町家の保全・継承につなげる施策を進めてきたが、今年度から施策の総点検を行う。
 9月18日開催の京町家保全・継承審議会(会長・田光雄京都美術工芸大学教授)で、京都市の籏哲也都市計画局長は「平成29年に条例を制定してからまもなく7年を迎えようとしている。この審議会からも色々な意見をいただきながら、様々な施策を工夫して取り組んできたが、残念ながら京町家の滅失が大きく止まるような状況にはないのが現状。そうした中、今年度改めて京町家の実態を調査した上で、これまでの施策を総点検して次のステップへ向けてどのようなことが考えられるのか、そうしたことを検証していきたいと思っている。年度内にもう1回審議会を開催し、実態調査の状況も踏まえながら、京都市から審議会に施策の検証等について諮問させていただこうと思っている。今年度から来年度にかけて審議していただき、京都市も次のステップへ進んでいきたい。その中でも先取りしてできることについては、スピード感を持って、可能なものは来年度当初予算に予算要求していく、そういう方向でも進めていきたい」と述べた。
 田会長は「ストックに軸足を置いた都市政策を進めるべき、それを一層強化していくする必要があると思っている。生活文化を含めた京町家の保全・継承と条例でも言っている。生活文化について、もっとアプローチしなければいけない。生活文化の保全継承施策と京町家の保全・継承施策がもっとリンクして、この施策が推進できればいいと思っている」「京町家の保有、維持管理が年々厳しくなってきていると聞いている。固定資産税が上がったり、空き家税だったり。特に大型町家については活用する努力をしてもなかなか実現しないという状況で、それに税がかかる、そういうことになってる。相続のいない大型町家について、所有者が保全を望んでいたものであっても、経済的に最大の利益が生まれるような処理がされて、結局は売却されていく。相続人がいない場合は国にお金が入ることになる。そういう仕組み自体も見直さないといけないと思っている。経済的な価値だけでなく文化的な評価をするということが必要。そういうことも含め、京都市への寄付制度を確立することができれば、こういう問題が解決しやすくなるのではというような議論が出てきている。ぜひ検討いただければと思う。空中権の活用について、もう一度きちんと考え直してはどうかというようなご指摘をいただいている。これも面的な都市整備の一環として、こういう空中権の売買の問題等も含めて検討していくという必要がある」と考えを述べた。
 今後は、9月から京町家状況調査を実施するとともに、施策検証に向けた準備として課題整理、検証項目の検討等を行う。今冬頃に京町家状況調査の概況をとりまとめ公表、施策の検証に着手する(審議会への諮問及び部会設置)。
 令和7年秋頃に答申し、それ以降、答申を踏まえた施策の具体化に入る。