県漁港建設協会(大坂文人会長)と県港湾建設協会(菅原博之会長)は18日、盛岡市内で、県に対し24年度の漁港・港湾関係事業に係る要望・提案を実施した。業界の健全な維持・発展に向け、事業費の確保や適正な設計・積算など15項目を求め、意見を交わした。
当日は、大坂会長、菅原会長と両団体の技術委員ら、県側からは農林水産部漁港漁村課の工藤明彦総括課長、県土整備部港湾空港課の伊藤秋彦総括課長らが出席。両会長は工藤総括課長と伊藤総括課長に要望・提案書を手交した。
両団体を代表しあいさつに立った大坂会長は、「震災の復旧・復興が完了し、事業量・事業費の確保が緊要となっている」と語ったほか、「国は発注関係事務適正化に向けた運用指針を定めているが、いまだ設計・積算と施工実態とのかい離が多発している」と指摘。「受注者が不利益を受けることのないよう検討いただき、結果について市町村を含む関係機関にも指導願いたい」と求めた。
県側を代表し工藤総括課長は、「大規模な災害が毎年のように発生している。早期復旧には、地元に精通した両協会の協力が不可欠であり、これまで以上に連携を強化していきたい」と、あいさつした。
24年度の要望・提案事項では、漁建協が▽総合評価落札方式評価基準などの見直し▽同一工事の発注形式の改善▽海中工事の「条件付一般競争入札」における入札参加資格要件の見直し▽曵回航費の適正な計上▽構造物取り壊しの適正な積算▽消波工の施工方式の改善▽異形ブロック製作の適正な積算▽水中型枠の海上運搬費の計上▽海上作業に伴う警戒船配備経費の計上▽工事関係書類のスリム化―の10項目。港建協が▽中長期における港湾整備事業の予算獲得、整備の拡充▽消波ブロック陸上運搬の仮置場所で必要となる陸上転置の費用計上▽起重機船の設計規格と実際に施工可能な起重機船規格がかい離した場合の対応▽電気防食工の施工歩掛りの改善▽週休2日工事の評価対象基準の明確化―の5項目を求めた。
このうち、漁建協側は総合評価落札方式評価基準などの見直しについて、「工事量の減少に伴い受注機会が少なく、増殖場整備工事は15年以上も発注のない地域がある」との実態を説明。施工経験として15年間を設定している評価基準の緩和などを要望し、県側は確認後で検討していく姿勢を示した。
港建協側からの港湾整備事業の予算獲得、整備の拡充については、県側が「補修などを継続的に進めるためにも、財源の確保に向け国へ要望していく。港湾が産業振興を支える重要なインフラであることを、共にアピールしていきたい」と答えた。
最後に菅原会長は「要望・提案を通じ、より着実な整備に向け課題・方向性を共有できた。今後も県と連携を図りながら、地域の発展、安心安全な漁港・港湾整備の実現に努めていきたい」と語った。
提供:日刊岩手建設工業新聞