済生会支部神奈川県済生会(横浜市神奈川区西神奈川1ノ13ノ10)が移転・再整備を計画している横浜市南部病院について、ECI方式(技術協力・施工方式)の一般競争入札が不調に終わったことが分かった。建設業界の人手不足や建築資材の高騰による事業費の大半な増加を要因に、応札者がいなかったという。これに伴い、発注方法やスケジュールなどを改めて精査しており、2028年度中としていた開院予定時期を見直す。9月18日の横浜市会健康福祉・医療委員会に報告した。
南部病院(港南区港南台3ノ2ノ10)は、横浜市の地域中核病院の一つ。1983年の開院から40年がたち施設の老朽化と狭隘(きょうあい)化に対応するため、旧資源循環局港南工場跡地(港南区港南台8ノ4ノ2)を移転先として再整備する。
実施設計への技術協力と旧港南工場の解体、新病院棟の建設を一括して担う事業者を選定するため、ECI方式の一般競争入札の手続きを2月に開始。開札時期は明らかにしていなかった。工期は2028年8月31日としていた。
委員会での報告によると今後、南部病院が基本設計の一部見直しと実施設計を進める中で、建設工事費を再精査するとともに追加資金の確保なども検討する。開院時期については、建設業界の動向も注視しながら市と協議するという。
また、移転再整備に伴う病院の区域変更に関する都市計画手続きについては予定通り進め、24年度中の都市計画審議会に付議する。
医療局の原田浩一郎局長は不調の理由について「設計会社を通じて個別の建設事業者にヒアリングしている中で、ほとんどの企業から(人手不足や建築資材の高騰についての)話が出ていると聞いている」と説明。さらに、「とりわけ、設備業者の人手が足りないようだ」と明かした。
既存の南部病院は病棟5棟で構成し、総延べ床面積2万9421平方b、病床数が500床。都市計画素案では、新病院は延べ床面積約3万8000平方b程度、病床420床を想定している。
解体の設計と本体工事の基本設計は佐藤総合計画(東京都墨田区)が手掛けた。
提供:建通新聞社