国土交通省は、仁淀川水系の日下川など計13河川を「特定都市河川」の指定に向けた手続きに着手した。近年の水害や気候変動による激甚化・頻発化を踏まえ、流域治水対策を加速する。四国では2023年4月に指定した愛媛県の肱川支川の都谷川流域に次ぐ2例目で、高知県内で初めてとなる。
特定都市河川に指定することで、流域水害対策計画に位置付けた河道掘削や堤防整備、雨水貯留浸透施設の整備といった流域治水のメニューを重点的に交付することができる。
今後、指定に向け知事や市町村長の法定意見を聴取し、12月ごろに特定都市河川・流域を指定する予定。指定後に関係機関により流域水害対策協議会(仮称)を設置し、流域水害対策計画を策定、具体的な流域治水のメニューを決める。
対象は仁淀川水系の日下川など計13河川の流域で、日高村の中心部や佐川町の加茂地区、渋川川流域に係る土佐市北部など流域面積37・7平方`が該当する。同流域は上流に行くほど地盤が低くなる地形であることから、浸水被害が繰り返し発生している。14年8月には台風12号による豪雨で159戸が浸水した。
こうした被害への対策として、国による新日下川放水路トンネルの建設や、県による日下川、戸梶川の改修、日高村による輪中堤の建設が進められてきたが、浸水被害のリスクは依然残っており、気候変動の影響による水災害の激甚化・頻発化も想定されている。
そのため国などでは、仁淀川水系の流域治水計画の方針をまとめる中で、日下川流域の関係者と部会や勉強会を開き、議論を進めてきた。23年8月に気候変動を踏まえた「仁淀川水系流域治水プロジェクト2・0」を策定し、その中で特定都市河川の指定を盛り込んだ。
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建通新聞社