名古屋市住宅都市局は、名古屋駅と名駅南・ささしまライブ24地区を結ぶ地下公共空間の整備で、都市計画手続きに向けた基本設計を本年度内をめどにまとめる考えだ。整備に当たっては、DB方式での発注も視野に入れている。2025年度以降、都市計画手続きとともに、民間活力導入可能性を検討していくとみられる。
地下公共空間は、名駅南1〜4丁目(笹島交差点〜ささしまライブ東交差点付近)に配置する計画。延長はおおむね400b程度。内空高は約3bとし、幅員は基準の5b以上を踏まえて、基本設計の中で決めていく考え。出入り口は5〜6カ所とし、歩道上に設ける計画で検討する。
エレベーターは、バリアフリーの観点から各所に設置する考え。地下公共空間には、通路空間の他、広場空間と公衆トイレの配置も検討している。土被りは、地下構造物の頂部からで4・5b程度になる。構築は開削工を想定。
基本設計ではこの他、ムービングウオーク(動く歩道)の有無、地下自転車駐車場の設置についても検討する。
現時点では、発注は従来方式、DB方式のいずれにするかは決まっていないという。
ただ、地下公共空間を構築するのに際して、土木、建築、電気設備、機械設備、エレベーター・エスカレーター設備の各工事を従来方式の分離発注で行うのと比べ、DB方式は全体工期の短縮効果が高いとみられる。資材価格の高止まり、今後も続くとみられる人件費の上昇、金利ある世界への変化などを考えると、工期を短縮化できる方法は有力だろう。また、同区間は歩行者増加を踏まえて、これまでに地上部の歩道拡幅を行っているものの、解決までには至っておらず、できるだけ早期に供用するニーズもある。DB方式の選択は十分あり得るかもしれない。
ムービングウオークは、今後の民間開発の動向を考える必要がある。地下公共空間の整備を契機に、名駅南地区の再開発が活発化すると、民間側から地下公共空間への接続を希望するケースが想定される。全区間でムービングウオークが設置されていると、民間のニーズに応えることができなくなる場合もあり得る。
行政と民間の開発が連動≠キるからこそ、まちの魅力は高まっていくという視点で見ると、設置の可否は慎重に考えるべきだろう。また、地下公共空間は名駅通を東西に往来しやすくなる新たなメリットも考慮して、ムービングウオークの設置可否を検討すべきだ。
提供:建通新聞社