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日刊岩手建設工業新聞社
2024/09/12

【岩手】岩手県と県空衛協が意見交換 人材の育成確保など論点に 設備工事業の課題解決へ

 県と県空調衛生工事業協会(菅原浩幸会長)は10日、盛岡市内で建設業における課題等に関する意見交換会を開いた。設備工事業における人材の確保と育成、休日の確保、総合評価落札方式などについて意見交換し、業界課題の解決に向けて問題意識を共有した。協会からは総合評価の評価項目を業種ごとに設定することなどを要望し、県側からは状況を分析した上で必要な措置を講じていく考えが示された。

 意見交換の席では、総合評価落札方式における課題や人材の確保と育成など、設備工事業が抱える固有の課題を主要な論点として意見を交わした。総合評価落札方式について冨岡靖博副会長は、土木工事業は災害対応で加点されやすい傾向にあること、市町村管理の水道施設への災害対応が評価対象となっていない点などを課題として挙げて「業種ごとの特性に合った評価項目を検討してほしい」と問題提起した。県土整備部建設技術振興課の久保田和憲総括課長は「問題意識は持っている。分析した上で、改めるべきことがあれば検討し、必要な措置を講じていく」と回答した。

 総合評価の関連では、現在は原則3000万円以上としている適用範囲を5000万円以上に引き上げること、工事成績評定に用いる工事成績データの期間を延長することなどを要望。総合評価が受注の偏りにつながらないような対策を求めた。

 CCUSについて協会側からは「具体的なメリットがイメージできない」「技能者の処遇改善と言われるが、レベルに応じて設計労務単価が高くなるわけではない。技能者の収入増を受発注者のどちらが負担するのか明確でない」「給与水準の高い県外企業へ、人材流出を促すことにつながるのでは」などの問題意識が示された。これに対し県側は「モデル工事の中で新たなインセンティブを考えている」と回答。将来的には人材確保につながり、長期的なメリットがあると説明した。

 担い手の育成と確保の関連では、菅原会長が「県立高校の再編に伴い設備系の学科が減少傾向にある。今後の再編計画を検討する中で、通学エリアなども勘案しながら県全体で考えてほしい」と、設備系学科の維持を呼び掛けた。ほか協会側からは「女子生徒向けの建築学科など、岩手独自の取り組みを考えては」「県立高校に対して、地元企業への就職をもっとPRしてほしい」など、工業高校で学んだ生徒が県内企業で活躍できるよう、県土と教育の両分野が連携した人材育成の取り組みを求めた。

 改修工事が多い設備工事業の特性に関連した課題も議題に上がり「改修工事は設計図面と現地が適合していないケースが多い」「学校の改修工事などでは土日の工事が求められ、完全週休2日への対応が困難」などの問題意識が聞かれた。このほか、週休2日や時間外労働の削減に向けた提出書類の簡素化、建築現場に関連する全ての業種が足並みをそろえて土日の現場閉所に取り組むことの必要性が訴えられた。

提供:日刊岩手建設工業新聞