トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建設新聞社
2024/09/10

【東北・宮城】藤本壮介事務所が受注候補/仙台市音楽ホール等複合施設の基本設計

 仙台市は青葉山地区の拠点として計画する、音楽ホールなどを備えた国際センター駅北地区複合施設(仮称)の基本設計について、公募型プロポーザルを行った結果、藤本壮介建築設計事務所を受注候補者に選定した。8日に市内の日立システムズホール仙台で開いた最終審査(公開プレゼンテーションとヒアリング)で決定した。
 プロポーザルは5月に公告し、応募者数は77者。1次審査は75者が通過し、69者が技術提案書を提出。このうち5者が最終審査に進んだ。次点候補者は山田紗子建築設計事務所+BPDL+佐藤慎也研究室JV(代表=山田紗子建築設計事務所、構成員=バウ・フィジック デザインラボ)だった。このほかの最終審査進出者は▽北澤伸浩建築設計事務所▽昭和tデYetBJV(代表=昭和設計、構成員=tデ一級建築士事務所)▽日建設計−。
 仙台市青葉区青葉山2の1ほか地内の敷地1万8748平方bに計画している国際センター駅北地区複合施設は、音楽ホールと震災メモリアル拠点の複合化施設として建設する。延床面積は最大3万2000平方b程度。概算事業費は約350億円で、うち工事費に約336億円を見込む。
 藤本壮介建築設計事務所の提案は、中心に据えた大ホールを、ラウンジやテラス、ホワイエといった関連機能が複層的に取り囲むような形状。階数と面積は地下1階地上4階建て、延べ3万1388平方bとした。
 「大ホール空間の転換と拡張〜みんなでつくる場〜」をテーマに掲げ、コンサート、合唱コンクール、オペラや舞台演劇など演目に応じたパターン転換に加え、3月11日のメモリアルコンサートなどでは大ホール壁を開放することで、5000人規模の人々が音楽を介してつながることができるような、建物全体がサラウンド型の劇場に拡張することを企図した。大ホールの壁柱間は片開き戸の大扉で構成することで、開放を可能にするとともに、閉鎖時の遮音性能も確保する。
 外観は、被災地の木材で造る複数の軒天が来訪者を迎え入れるイメージ。災害文化の活動を支えるスラブにも、被災地の木材を使用する。構造計画は、大ホールの壁柱とスラブ面は、耐久性・耐震性・音響性能に優れたRC造。舞台上部を成すフライタワーは鉄骨トラスとする。耐震壁以外のスラブを支持する柱には、細径の鉄骨柱を用いる。基礎はマットスラブとすることで掘削量低減と工期短縮を図る。
 青木淳審査委員長は「音楽ホールと震災メモリアル施設の複合型という一般的には珍しい施設となるが、市民が日常的に足を運べるような、今まで仙台に無かった公共施設への優秀な提案だった。今後は仙台に事務所を置き、定期的に市民と対話しながら設計を進めたいという話もあった」と講評した。
 基本設計の履行期限は2025年11月28日。本契約は12月を予定しており、委託料上限額は3億5351万8000円(税抜き)。なお、基本設計を24〜25年度に作成し、実施設計を25〜26年度でまとめ、工事を27〜30年度に行う。開館は31年度を予定する。
 基本計画支援は政策技術研究所、音響コンサルは永田音響設計が担当している。

 提供:建設新聞社