県盛岡広域振興局土木部岩手土木センターが整備を進めている一般国道282号の佐比内工区(八幡平市)で、今年度は(仮称)佐比内トンネルの築造工事に本格着手する。6日に八幡平市内の現地で安全祈願祭が開かれ、県や八幡平市、施工者らが工事の無事完了と、地域の広域ネットワークを形成する安全で信頼性の高い道路の早期完成を祈った。
国道282号は、北東北の物流や観光、産業を担う重要な路線であり、東北縦貫自動車道が通行止めの場合には代替路線としても利用される。このうち佐比内地区を通る既存の道路は幅員狭小・線形不良であり、冬期間の積雪量も多いことから、特にも冬期間においては車両のすれ違いが困難になるなど、円滑な通行の支障となっていた。
県では、通行車両や歩行者の安全確保とともに、緊急車両の安全な通行確保や東北道の通行止め時における円滑な交通の確保などを図るため、トンネルを含む佐比内工区の道路改良を実施している。
佐比内工区の全体計画は760bで、区間内には(仮称)佐比内トンネル(延長210b)を設置する。12年度に事業着手し、21年度には起点側の道路改良工事300bに着手、23年度に完成した。今後はトンネル工事などを進めて、26年度中の工区全体の完成を目指す。
今回着手するのは、(仮称)佐比内トンネルと前後区間244・3bの道路改良舗装工事。施工を潟sーエス・コンストラクション・葛゚江建設特定共同企業体が担当する。契約額は約17億円で、工事期間は26年2月12日までを予定している。
6日には終点側で工事安全祈願祭が開かれた。祈願祭には県、八幡平市、施工者、地権者ら約40人の関係者が出席。県盛岡広域振興局の小野寺宏和局長、八幡平市の佐々木孝弘市長、ピーエス・コンストラクション東北支店の清水俊一支店長、近江建設の近江育夫代表取締役社長が鍬入れをして、工事の無事完成を祈った。
小野寺局長はあいさつの中で、国道282号の重要性を強調するとともに、地権者や施工者らに対する感謝の意を示し「早期完成に向けて全力で取り組んでいく」と展望。佐々木市長の祝辞、同局土木部岩手土木センターの千葉信英所長による事業概要説明に続き、清水支店長が施工者を代表してあいさつ。「現道やJRなどが隣接し難易度の高い工事であるが、私たちの技術を結集して、無事工事を完遂させたい」と安全な工事への決意を示した。
現場代理人を務める佐藤和典さんは「雪が多く、急カーブで冬期間には交通事故も多く発生している箇所と聞いており、危険な箇所の解消に努めたい。事故を起こさないよう施工を進めていく」と話している。
提供:日刊岩手建設工業新聞