川崎市は、まちづくり局が発注する建築工事で積算ミスによる入札中止を防ぐため、市が事業者に対して配布する工事内訳書の誤りを検出できるチェックツールの実証実験を行う。設計者が作成した設計図面と内訳書の内容が一致しているか確認するためのソフトウェアを事業者に提案してもらい、実用性を検証していく。早ければ2026年度にも本格導入する予定だ。
工事内訳書は入札前に設計図面などと併せて配布される工事の内容や数量などを示した書類。市はあらかじめ設計者が作成した内訳書と設計図面が一致するか、漏れがないかを細かく照らし合わせる作業を行うが、項目が数千以上になることもあるため膨大な時間を要する。
積算の誤りにより意義申し立てを受ける事例も発生しており、23年度は高津小学校給食室増築工事で建具に関する単価の誤りが判明するなど、小学校に関連する2件の建築工事が契約に至らなかった。
実証実験は協栄産業(東京都品川区)を事業者に選定。営繕積算システム(RIBC2)で作成した内訳書の誤りを検出できるソフトウェアを提案してもらう。一部のパソコンにソフトウェアを導入し、工事の担当者が自由に利用できるようにすることで実用性を確認する。この他、過去に入札中止した工事の内訳書で積算ミスが抽出できるかどうかも検証する。
例えば「取り外し」と「再取り付け」をペアになる項目とし、内訳書にどちらかの項目のみ記載されていない場合に検出できる機能などを想定する。必要な機能について市が事業者に提案、事業者は市の提案に従ってソフトウェアを改善していく。
チェックツールの効果が見込まれた場合は26年度にも本格導入する予定。入札中止の事例が多かった建築工事で実証するが、設備工事に活用する可能性もあるとしている。
提供:建通新聞社