神奈川県が8月30日に公表した6月分の毎月勤労統計調査(速報)によると、建設業(事業所規模5〜29人)の特別給与を含む現金給与総額は65万4923円で、前年と比べて8・6%増加した。所定外給与を含めた決まって支給される給与は45万0073円(同13・7%増)。労働時間を見ると、建設業の所定外労働時間は13・3時間と前年比で19・8%減っており、給与・労働時間ともに雇用条件が大きく改善していることが分かった。
決まって支給される給与額を見ると、調査対象の全15業種平均は1・8%増で、建設業の伸び率13・7%は「電気・ガス・熱供給・水道業」の15・9%に次いで大きい。
建設業の現金給与は、今年に入ってからの増額が顕著だ。30人以上の事業所は5・7%増で、小規模・零細企業の増加が目立つのも特徴。4月から新たに時間外労働の規制対象となった運輸、医療の業種にも同様の傾向があり、法律の施行を前に待遇の改善を進めたことも影響しているようだ。
建設業の所定外労働時間も、全産業平均の2・8%減と比べて着実に減っている。事業所規模5〜29人の19・8%減は、全産業で最も改善幅が大きい。
ただ、総実労働時間を見ると、建設業(事業所規模5〜29人)は170・6時間と全産業平均の131・9時間を40時間も上回る。「運輸・郵便」の171時間と並んで、全15業種中、最も労働時間が長い。事業所規模30人以上の建設業も171・1時間で、事業規模にかかわらず、総労働時間は前年と比べても変わっていない。単純に出勤日数が多いことが要因で、建設業の20・9日は全産業平均の17日より、約4日多い。
建設業の働き方改革元年となる2024年は、6月までの統計で、給与面の改善が進む一方、労働時間についてはまだ道半ばの状況が浮き彫りになっている。完全土日休日など、平均並みの休暇取得を進めながら、給与のアップも続けられるかが今後の課題となってくる。
提供:建通新聞社