富山県建築士会富山支部(飯野美代子支部長)の有志で構成する「かぐてんぼう隊とやま」は、全国防災週間の初日である8月30日に出動し、富山市内で高齢者宅の家具などを固定化する作業に取り組んだ。
蜷川地区センターで行われた出発式には隊員のほか、富山工業高校の部活動団体・建築工学部の1〜3年生10人が参加。冒頭、蜷川自治振興会の山本繁之会長が「天災は忘れたころにやってくると言われるが、最近は忘れる間もなく発生する。今年1月1日の能登半島地震では、多くの方が犠牲になった。家具の下敷きや倒れた家具で逃げ遅れたケースも少なくない。家具が倒れないよう固定すればいいが、高齢者世帯では困難。当会では平成29年から、かぐてんぼう隊とやまにボランティアで事業を実施して頂いている。活動を通して、防災に対する住民の意識向上が図られ、地域の防災力が高まることを期待したい」とあいさつした。
富山工業高校建築工学部の山口雄貴顧問は「今回の取り組みが地域の皆さんの役に立つことが分かれば、生徒の学習の励みになる。進路を考える時にもこういう体験が役に立つ」と述べた。
飯野支部長は「今回が9回目の活動。これまでは年間10件程度だったが、今年は能登半島地震を体験し、22件と多くの依頼があった。県内に活動を広めるべく、3年前から富山県の補助事業となった。婦負支部も新たに加わり、明日は八尾町と婦中町でも活動を行う」と話した。
根塚三起生隊長が「木造住宅が主だったが、今年は震災があり、高層階のマンション住民からの依頼が多かった。ますます隊の意義が大きくなる。高校生の皆さんは社会人になったら、建築士会に入り、隊を引き継いでもらいたい」と述べ出発を宣言した。
蜷川地区では、5班が高齢者宅で活動を展開。このうち、秋山満さん(72)宅には、飯野支部長と宮下剛氏(宮下工務店)、室谷外幸氏(リモデル・コラボ)、富工生の澤井孝太郎さん(3年)と真岸遼弥さん(1年)が訪れ、タンス3カ所をL型金物で固定する作業に取り組んだ。秋山さんは「家具の固定化は、知識や道具がなく自分ではできない。数年前はコロナで延期となり、今回も依頼した。固定化が終わり、とても安心感がある」と話していた。
同日は支部管内の4地区で13件、8日には9件の固定活動を行う。婦負支部では31日と8日、高岡支部では11月に活動の予定。