県土木部発注工事の入札で、2023年度に電子くじで落札決定した割合が37.4%まで増加したことが明らかになった。前年度を3.1ポイント上回り、20年度から4年続けて上昇している状況。最低制限価格での発生率も95.8%と高い割合を占めた。同額抽選を前提とした応札は今もなお打開策が見いだせず、もどかしさばかりが募る。
(田原謙一・常務取締役(兼)報道部長)
監理課への取材によると、23年度の土木部発注工事の入札2859件のうち、同額抽選が発生したのは1068件(発生率37.4%)。このうち、最低制限価格で並んだのは1023件あり、その割合は95.8%にも上った。
工種別の発生率は、入札件数のほぼ半分に当たる土木一式が前年度比5.3ポイント増の27.8%(1449件中403件)。このうち、最低制限価格での発生率は91.6%(403件中369件)を占めた。
このほか、舗装での発生率は前年度比0.4ポイント減の25.4%(563件中143件)で、うち最低制限価格は97.9%(143件中140件)。毎年度高い割合となっているとび・土工の発生率は同3.5ポイント増の95.7%(326件中312件)まで達し、このうち99.4%(312件中310件)が最低制限価格だった。
■発注者側も「手立て見えず」
近年の推移をみると、発生率(全体)は20年度から上昇し、21年度以降は3割台で増加。今や4割まで達しそうな状況にある。
工種別では、とび・土工の上昇に歯止めがかからず、ついに9割台半ばを超えた。入札件数で高いウエートを占める土木一式もここ3年ほど増加が続き、全体の数字を引き上げた要因となっている。
「これで何連敗になったかね」
「くじを当てられるソフトがあればいくらでも払うけどね」。
応札者の積算精度が向上する中、業界からはこんな嘆き節が今もなお続く。
同額抽選を前提とした応札が常態化しているのは全国でも同様。発注者も「公平性の観点を考えると、これに代わる(くじ以外の)手立てを見いだせないのが実情」という。
その結果に一喜一憂する業者の姿が当たり前となってしまった今、得策にたどり着けず、静観するしかない状況が何とももどかしい。