高知県は、国の海岸保全基本方針が変更されたことを受け、海岸保全基本計画の見直しへの意見を聴取するため、第10回高知県海岸保全基本計画推進委員会を開催した。会では近年増加している気候変動を踏まえハード・ソフトを組み合わせた適応策などを反映させた海岸保全基本計画の変更案を示した。
現計画からの主な変更点として、気候変動シナリオとして気温が2度上昇することを前提に将来の気候変動を考慮した2100年時点の海岸保全の方向性を示し、気候変動に不確実性があることから5年ごとに点検し、適宜見直しを実施することや、約20年間で重点的に整備対象としていく海岸を抽出することなどを説明。
海岸の防護については、段階的な適応策の実施、ハード・ソフトを組み合わせた適応策、継続的な海浜地形、施設の老朽化状況などのモニタリングの他、2100年に予測される計画高潮位と30年確立波浪、段階的な防護水準などの変更点を示した。
気候変動には不確実性があるため、施設の耐用年数など将来変化を考慮し段階的な対策を実施する。
対策案の事例として、ハード対策では、堤防、離岸堤の嵩上げ、ヘッドランドの改良、総合土砂管理など。ソフト対策では、都市計画との調整や防護ラインの見直し、浜堤の保全、海岸地形の継続的なモニタリングなどを示した。
海岸保全基本計画の変更に向けたスケジュールは、人口や経済基盤が集中している土佐湾沿岸中央部を先行して変更するため、9月に関係市町村への意見照会を行い、10月に国に提出する予定。他の海岸については24年度に防護水準の検討を行い、25年度に海岸保全基本計画に反映する見込み。
同委員会は、高知工科大学の磯部雅彦名誉教授を会長とする学識経験者など9人で構成。事務局は高知県土木部港湾・海岸課が務めている。
提供:建通新聞社