7月11日に県県土整備部長に就任した四童子隆氏は、県土整備行政に携わるに当たり「新時代にふさわしいインフラを仕上げていくことに全力を尽くしたい」と抱負を語った。道路事業では「シームレスネットワークの構築」などの考え方を取り入れ、国や市町村と連携しながら、課題解決やサービスレベルの向上を図っていく。地域の建設業について「質の高いインフラを造り、維持し、災害時に地域を守るために不可欠」との見方を示した。
――千葉県の印象は。
四童子 船橋市に15年ほど住んでおり、妻の実家が佐倉市にあるなど、千葉県には強い縁がある。住みやすく、ポテンシャルの高い地域であり、交通渋滞の解消や道路ネットワークの充実を推進することでさらなる発展が期待できるのではないか。
――就任に当たっての抱負・展望は。
四童子 インフラの整備は、広い視野と戦略を持ち、世代を超えて進めていくイメージを持つことが必要。県内では、東京外かく環状道路(外環)が開通し、首都圏中央連絡自動車道(圏央道)が間もなく開通を迎えるなど、先人や県民の尽力・投資が形になるタイミング。この転機とも言える時期に、将来に向けた県土づくりに携わることができるのは、非常にやりがいがあり、身の引き締まる思い。これまで積み上げてきたものを引き継ぐとともに、新時代にふさわしいインフラを仕上げていくことに全力を尽くしたい。
――圏央道の全線開通に向けて。
四童子 大栄・横芝間がつながることは、産業と観光の振興、県土強靭化の面で大きな意味がある。一日も早い完成に向け、国や高速道路会社に協力し、地元と連携を図っていきたい。
――成田国際空港と外環を直結する北千葉道路について。
四童子 成田空港のさらなる機能強化の効果を県土全体に波及させることが重要。北千葉道路の開通は、観光面の利便性向上だけでなく、物流・産業の生産性向上や振興に寄与すると考えられる。成田空港へのアクセス強化は、県土利用に変化をもたらすという観点で、大きな意義がある。
――道路事業において重視することは。
四童子 国土交通省道路局在籍時、新しい時代に向けた道路の方向性を議論する中で「WISENET(ワイズネット)2050」という政策が立ち上がった。この中で、シームレスネットワークの構築が要点の一つに掲げられている。単に定められた整備量を達成するのではなく、現場を注視して現状のサービスレベルや課題をしっかりと理解し、国や市町村と連携しながら解決に取り組むことが重要。県内においては、幹線道路の機能と生活道路の機能が混在している路線があることを踏まえ、新湾岸道路などの新しい広域ネットワークを戦略的に構築していくことで、身近な道路の役割分担や階層性の確保にもつながる。
――一宮川流域をはじめとする河川事業の取り組みは。
四童子 河道整備だけでは限界があることから、市町村や民間企業などと同じ意識を持って流域治水に取り組み、安全・安心を確保していく。
――各種事業の推進における方針は。
四童子 公園の再整備や空港周辺への投資促進において、民間の力を活かしてもらうことが、観光、まちづくり、産業誘致における一つの鍵になる。また、あらゆる公共土木施設・公共建築物の老朽化対策や長寿命化が最優先課題になっているため、持続可能となるよう対応していく。
――県土整備部職員による不適正事案を受けた、職員のコンプライアンス遵守について。
四童子 第三者で構成する検討会議からの提言を踏まえ、再発防止を図っていく。入札契約のあり方などについての提言も踏まえ、より公平性透明性の高い制度を検討する。
――地域の建設業に対する期待は。
四童子 質の高いインフラを造り、維持し、災害時に地域を守るためには、建設業の存在が不可欠。「地域の守り手」として持続可能な形で活躍できる仕組みや適正利潤のあり方を考えていく必要がある。また、担い手の確保や働き方改革に、官民で力を合わせて取り組んでいきたい。
――趣味などについて。
四童子 子どもが囲碁教室に通い始めたことを機に、自身も囲碁を嗜んでいる。大局的に考える、頭を使って戦略的にやっていくという点で、日々の仕事にも生きている。ゴルフも趣味の一つ。最近、香取市にある伊能忠敬記念館に行ってきた。伊能家の家訓の「正直であること」「立場に関わらず、良い意見は取り入れること」「争いなどをしないこと」は、現代にも通じると思う。