県は9日、「県土整備部における不適正事案に係る検討会議」の第2回を県庁本庁舎5階特別会議室で開催した。下部組織の総務専門部会と県土整備専門部会が「利害関係者との飲食の届け出制度の見直し」や、一般競争入札の拡大の検討を含む「入札契約のあり方」などに関する提言をまとめたことを受け、検討会議としての提言を整理。閉会後、記者団の取材に応じた座長の●田範行・弁護士は「両専門部会の提言をまとめる形で、検討会議としての提言を示すこととした。報告書については、文言の整理などを行った上で近く県に提出する予定」とした。
出席者は、●田氏のほか、総務専門部会部会長の桐ヶ谷敬三・家事調停委員、県土整備専門部会部会長の安田博延・弁護士、高梨みちえ・総務部長、齋藤浩司・総務部次長、菰田直典・災害・建設業担当部長、久本修・県土整備部次長など。また、総務専門部会と県土整備専門部会の専門委員がオブザーバーとしてオンラインで参加した。
「利害関係者との飲食の届け出制度の見直し」では、現在は自己負担が1万円を超える場合に届け出を求めているが、これを撤廃し、届け出を原則化する方向。ただし、不適正な関係につながる可能性が低い飲食は届け出の対象外とする見通し。
また「一般競争入札の拡大」に際しては、不良・不適格業者の排除や地域産業の育成を図るための必要な条件を設けるなどの対応を検討することになる。
提言の項目は▽コンプライアンスおよび倫理条例のさらなる周知徹底▽事業者との適切な関係性の確保=利害関係者との飲食の届け出制度の見直し、夜間・休日における事業者への連絡手段(公用携帯電話の配付などの検討)▽働き掛けへの対応=利害関係者からの働き掛けを記録する制度の導入検討、利害関係者からの働き掛けに対する通報・相談体制の検討▽退職者への対応▽入札契約のあり方=入札方式の検討、不正を事前に把握する取り組み(不正をチェックする仕組みの不断の検討)、不正を行った業者に対する厳罰化(長期間の指名停止)▽入札情報などの管理のあり方=職員間の情報共有のあり方(機密性の高い情報について関係の無い職員が閲覧できない仕組みの構築など)、入札に関連する情報への職員の関与(情報漏洩リスクがより低い事務のあり方の検討)。
検討会議は、1月10日に県土整備部の職員が収賄の疑いで逮捕され、同月31日付で収賄罪で起訴されたことを受け、事件の経緯の調査や再発防止策の検討などを行うために設置された。2月5日に第1回を開いたが、同月28日には県土整備部の別の職員が収賄の疑いで逮捕された。
当該職員2人に対しては6月3日に有罪判決が言い渡され、その後、控訴が行われなかったため、同月17日付で判決が確定。県は、同月6日付で懲戒免職処分とした。
また、当事者・関係者への調査のほか、利害関係者との間の禁止行為の有無などについて全庁的な実態調査を行うとともに、倫理条例の運用や効果の検証、入札・契約などのあり方について検証・検討を進めていくため、総務専門部会と県土整備専門部会を設置。それぞれ、7月までに4回の会議を開催し、提言を取りまとめた。