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北陸工業新聞社
2024/08/19

【石川】奥能登公立4病院/統合病院へ県がリーダーシップを/地震で外来、入院患者減少

 奥能登4市町(輪島市、珠洲市、能登町、穴水町)における地域医療の在り方について話し合う石川県の「奥能登公立4病院機能強化検討会」(谷内江昭宏座長)の初会合が8日、県庁内で開かれ、元日の能登半島地震を受けての公立4病院の被災及び復旧状況をはじめ、患者数、医療スタッフ数の変化などを確認した。
 この中で4病院の担当者からは地震後、外来、入院患者数が減少していることから、新たな統合型の病院の建設に向けて県のリーダーシップを望む意見が相次いだ。
 検討会は県健康福祉部が事務局を務め、奥能登2市2町、金沢大学、金沢医科大学、県立中央病院、能登総合病院、恵寿総合病院、県医師会、県歯科医師会、県薬剤師会、県看護協会で構成する。今後の議論の進め方として第1段階では地震発生後の4病院の対応および復旧状況の確認や必要な支援策の検討、広域避難者の帰還に伴う医療需要の増加に備えること―、第2段階では、医療を取り巻く状況変化を踏まえつつ4病院を含めた医療提供体制の機能強化策を検討することを申し合わせた。
 地震後の対応を見ると、発災直後、多くの傷病者が4病院を訪れたため、病院側ではDMATなどの支援を得て対応にあたったといい、その後、救急医療を維持するために入院、透析患者を被災地以外へ転院させるなどした。
 4病院の入院・外来患者数は1から2月を底に増加傾向にあるものの、6月時点で地震前の5から6割程度という。
 医師数は金沢大学や金沢医科大学の協力の下、前年度と同程度を確保している。
 看護師は発災後の住環境の悪化により、退職の意向を示すケースが急増。県や看護協会が在籍型出向の支援、全国への募集を呼び掛けるなどして、現在はおおむね必要な人数を確保しているという。
 意見交換では、4病院の院長らから統合型病院を希望する意見があった。歯科医師会からは地震により奥能登の民間クリニックが休院に追い込まれているケースがあることから公立による歯科診療体制の維持を求める声が上がった。このほか、奥能登だけでなく中能登を含めた医療体制について議論すべきといった指摘もあった。
 検討会では今後、仮設住宅の完成などによる広域避難者の帰還状況、4病院、民間診療所(医科、歯科)及び薬局の復旧状況などを確認しながら、医療提供体制の強化策についての議論を深める。次回の会合は年内を予定している。

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