国土交通省は8日、かわまちづくり支援制度において、新たに申請のあった22か所を登録した。千葉県からは、浦安市の「境川かわまちづくり(第1期)」が選ばれた。推進主体は、境川かわまちづくり推進協議会。ハード施策として、水辺景観を楽しめる歩行者空間の確保に向けて市役所周辺に沿川散策路を整備するほか、境川公園や市役所前親水テラスを「にぎわい創出拠点」として活用する。また、登録に当たって浦安市が協議会の事務局として河川区域を包括占用することで、民間事業者による営利活動を実施可能とする。営利活動にあたり民間事業者から徴収する使用料は、施設維持管理費などに充当する。
浦安市は、境川を「水辺の環境軸」と位置付けている。治水機能を維持しつつ、自然環境の保全と活用を図り、市民が水辺に親しめる環境作りに取り組む。また、駅周辺などの拠点機能を有機的に連携するネットワークの強化を図るため、河川管理用通路や沿川の道路・緑道を整備し、オープンテラスなどの出店を誘導してウォーカブルなまちづくりを目指す。
沿川の散策路については、河川管理用通路はあるが未舗装箇所が多く、コンクリート直壁の堤防が眺望の阻害となっているため、市民が散策を楽しめるよう景観に配慮した床舗装、転落防止柵などの整備、文化会館付近の歩道部のかさ上げなどを行う。
にぎわい創出拠点に関しては、管理用通路に接する境川公園を再整備し、キッチンカーやオープンカフェなどの立地を促進する。また、市役所に隣接する親水テラスの護岸修景整備に取り組み、既設の砂浜を利用した水面利用の基地としての利用を誘導する。
ソフト施策では、にぎわい創出関連の社会実験を通して営利活動の事業性と課題を確認し、組織のあり方を検討するほか、中期整備に向け、西水門から新橋までの上流域の水辺テラスの現況調査を行う。
県は、必要な河川管理用通路の舗装を担う。ソフト面では、河川空間において営利活動を実施する際に、都市・地域再生等利用区域の指定などを支援する。
境川は、利根川水系に属し、旧江戸川から東京湾に至る延長約4・8q、流域面積約6・8km2の一級河川で、県が管理している。市の住宅ゾーンの中心である元町・中町・新町を通るシンボル的河川となっている。各区間で整備状況が異なり、新橋〜東水門で修景整備済み。東水門〜境川橋では修景整備を進めている。
今後の5年間のハード整備工程は▽市役所周辺右岸沿川散策路整備=24年度▽境川公園整備=24年度▽市役所前親水テラス整備=25〜27年度▽市役所周辺左岸沿川散策路整備=27〜29年度▽元町地域水辺テラス整備調査=29年度――の予定。
かわまちづくり支援制度は、一級河川、二級河川、準用河川を対象に、水辺を生かした地域のにぎわい創出を目指す取り組みをハード・ソフトの両面から国が支援するもの。国土交通省により09年度に創設され、今回を含め全国286か所が登録された。