北陸地方整備局利賀ダム工事事務所は6日、報道機関向けの事業説明会を南砺市利賀地域で開催した。
11日に開かれる予定の利賀ダム本体並びに押場貯水池法面対策着工式を前に、事業概要や現在の進捗状況について河村陽一副所長と小林達調査設計課長の案内で見て回った。利賀市民センター内にある利賀ダムDXルームでの説明に続き、工事現場に移動。利賀ダムサイト左岸の赤松谷付近と利賀ダム下流の河床桟橋を見学した。河床桟橋からは、7月5日に工事を終えたばかりの「転流工」の吐口から迂回させた水が流れ出る様子を見ることができた。
河村副所長は、利賀ダムについて「これほど急峻な地形に造られるダムは全国でも珍しい。庄川の沿川住民を守るため、上流域にある利賀川の増水を貯留して全川の洪水被害を軽減することができる」とし、「ダムが庄川河口から約40キロと近いことから、全川の危険が減り、昨年夏の豪雨で被害が出た和田川などにも効果が及ぶ」と強調。このほか、既得用水への補給といった流水の正常な機能維持、新たな工業用水の取水が可能になるなどダム建設の目的を挙げた。
利賀ダム本体建設(第1期)工事は、清水建設・鴻池組JVが施工。工期は1456日間(冬期間は休工)。押場地区貯水池法面対策(第1期)工事は大成建設・東急建設・岩田地崎建設JVが施工。工期は1455日間。今後は両工事が本格的に動き出すが、河村副所長は「本体工事に加え、不安定な押場地区の法面対策は規模が大きく難しい面もあるが、自然環境への負荷をできる限り抑制しながら、コスト縮減にも努めつつ、一日も早い事業の完成を目指す」と話した。
南砺市利賀村地先で計画される利賀ダムは、全体工期が2031年度まで。総事業費は約1640億円。事業費ベースの進捗率は約49%(23年度末現在)となっている。