名古屋市緑政土木局は、東山動植物園のアフリカサバンナエリア整備に向けた、基本設計に着手する。同エリアはアフリカゾウ舎、コモドオオトカゲがいる北園を北側を中心に拡張してサファリ的なゾーンとする計画だ。高低差がある中での造成や、群れで暮らす動物たちの見せ方に工夫を凝らす必要があり、公募型プロポーザルで委託者を決める。2025年度内に設計成果を得て、工事発注に向けた詳細設計を進めていく方針だ。同エリアの整備は、東山動植物園の再生における次期事業計画(第4期事業計画)の目玉の一つとなるとみられる。
基本設計の対象区域は、約4f。既存エリアの北園はアフリカゾウ舎(現在は空き)がある他、コモドオオトカゲ、カバ、コビトカバがいる。
再整備で、ライオン、ブチハイエナ、アミメキリン、グレービーシマウマ、カバ、ハイラックスやミーアキャットなどの小獣、ホオジロカンムリヅルやダルマワシなどの鳥類を展示する予定だ。コビトカバは森の動物のため、サバンナエリアでなく、隣接するアフリカの森と接続するエリアに整備する。
全体4fのうち、平地部は2・3f。計画区域外周を回る形で観覧ルートを設け、特定の角度から動物を観覧するだけでなく、いろいろなビューで観覧できるエリア整備を計画している。
施設は、獣舎や外部展示スペース、休憩施設、トイレ、デッキ、昇降施設などを整備する。施設は複数棟で全体延べ床面積は計3500平方b程度を見込む。外周を回る形で観覧するため、獣舎をどう配置するかも基本設計でのポイントの一つになるだろう。また、夏季の昼間などは動物にとっても外にいるのは過酷なため、獣舎内にいることも多い。屋内観覧での見せ方も重要だ。
区域内は、自然動物館所在地が最も高く、最も低いアフリカゾウ舎との高低差は30b程度ある。鳥瞰(ちょうかん)できるビューも重要なため、どういった造成計画とするかも大事だろう。サバンナエリアの植生を展示動物が食べてしまうことなく、どう再現するかもポイントだ。
基本計画では、ゾーニングのポイントとして、▽アフリカサバンナの草原、疎開林、水辺や岩場を再現▽サバンナの景観の中で景観を一望できる▽サバンナの動物たちを多様な視点で観察体感できる、サバンナツアーを体現できる―3点を挙げている。
サバンナエリア整備を通じて、来園者の増加や、園全体の魅力向上、生物多様性の向上、アニマルウェルフェアに寄与、コストの縮減といった効果を挙げることを目指している。
提供:建通新聞社