4月21日の茂原市長選挙で初当選を果たした市原淳氏は、成田国際空港のさらなる機能強化や首都圏中央連絡自動車道(圏央道)の県内区間全線開通などを見据え、市内3か所(茂原北・茂原長柄、茂原長南)のインターチェンジ(IC)周辺で産業用地や企業立地の整備を推進する。特に茂原北ICは、無料化された外房有料道路に近接しているため、「産業用地や企業立地のメリットが大きい」との見方を示し、「産業用地や企業立地のみならず、道の駅、パーキングエリア(ハイウェイオアシス)、防災拠点を複合化した『防災道の駅』の設置など幅広く考えている」と述べた。また、コンパクトシティを目指すに当たり、駅前周辺整備に注力。駅前で建て替えが進められているイオン茂原店と活性化の起爆剤となる市民会館の複合化を視野に、事業者のイオンリテールと協議を進めている。
――市への思いや印象は。
市原 生まれも育ちも茂原市で、さまざまな視点から市を見てきた。昔は企業城下町を形成し、駅前や商店街もにぎわっていたが、時代の流れにより変化が生じている。特に駅前は、市の顔となる場所であるため、市民ニーズを探りつつ、周辺整備に力を入れたい。
――産業用地の整備は。
市原 長柄町が茂原長柄スマートIC周辺において、新規産業用地の整備に向けた適地選定調査を開始するなど、IC周辺への産業用地整備の機運は高まっている。成田国際空港の機能強化と圏央道の県内区間全線開通を見据え、業種・分野問わず、産業用地の整備を進めていきたい。特に茂原北ICは、成田国際空港と東京国際空港へのアクセスが優れており、さらに無料化された外房有料道路に近接しているため、千葉市方面へのアクセスが容易であるなど、複合的な集約地点として産業用地や企業立地のメリットが大きいと考えられる。
――道の駅の建設について。
市原 茂原北IC周辺では、産業用地や企業立地のほか、道の駅、ハイウェイオアシスを含むパーキングエリア、防災拠点を複合化した施設の設置など幅広く考えている。特に防災拠点については、災害時に自衛隊などの活動拠点となるスペースが不足しているため、アクセス性がよく、迅速な対応が可能なIC周辺が適地と考えている。
――公約に掲げた市民会館の複合化は。
市原 長生地域における文化活動の拠点として、PFIを含めた民間活力の導入を視野に、新たな市民会館の整備を推進する。建設候補地は、コンパクトシティを目指すに当たり、茂原駅前を検討している。駅前では、イオン茂原店の建て替えが進められており、イオン茂原店と市民会館の複合化も視野に、事業者のイオンリテールと協議を行っている。
管路更新などを推進/状況に応じた内水対策
――豪雨に伴う水害対策は。
市原 人命を第一に考え、県による一宮川流域治水プロジェクトを促進するとともに、田んぼダムの設置拡大を早急に進める。田んぼダムの設置拡大は、営農者の資産を守ることを優先し、農作物に被害が及ばない範囲での協力を丁寧に求めていく。道路の冠水被害に関しては、排水管路の計画降雨量を上回る豪雨が発生しているため、管路の更新、分流式下水道の普及、貯水施設の追加など地形や状況に即した内水対策を実施していく。特に新治地域や本納地域では、房総丘陵の山間部から流れてくる雨水が溜まりやすい場所であるため、貯水施設の整備などを含めた内水対策が必要と考えている。
――高規格道路の建設について。
市原 高規格道路「茂原・一宮・大原道路」の建設については、県議時代から建設促進のため、声を上げてきた。地域高規格道路「茂原・一宮道路」(長生グリーンライン)の長南町〜茂原市区間約2・5qが開通したが、今後は、一宮町、いすみ市、鴨川市までの延伸を視野に、期成同盟会などにおいて建設促進に向けた要望活動を積極的に行っていく。
――学校再編基本計画に基づく学校再編は。
市原 学校再編基本計画に基づき、既存事業として学校の再編が進められてきたが、地域のコミュニティとしての側面もあるため、再編ありきではなく、地域住民と意見交換を丁寧に行い、最適策を模索していきたい。
――地域の建設業への期待は。
市原 近年の異常気象により、水害をはじめとした災害が多く発生している中、発災時の防災対策や被災箇所の復旧時にも多大な力添えをいただいている。建設業では、担い手不足が深刻となっている。人材確保や担い手の育成に向け、企業との協力体制を作っていきたい。
いちはら・あつし
1977年2月6日生まれ。茂原市出身。帝京大学薬学部卒業。2001年、アインファーマシーズ入社。03年、市原薬局代表取締役就任。19年、県議会議員選挙で初当選。2期にわたって県議会議員を務める。24年4月、茂原市長選挙で初当選を果たした。趣味は野球などスポーツ観戦、映画鑑賞、ゴルフ。座右の銘は「我以外皆我師」。