神奈川県県土整備局によると、2023年度のスライド条項の請求数は56件だった。このうち、インフレスライドが53件と請求数全体の9割を占め、単品スライドが3件、全体スライドは0件だった。22年度からは総数8件の増加となる。物価高騰や労務単価の上昇を受け、21年度以前と比べてスライド条項の請求数が大幅に増加する傾向が続いている。
スライド条項の種類別に見ると、22年度からインフレスライドは17件増加し、単品スライドは8件減少、全体スライドは1件減少した。21年度の請求数は3件のみで、このうちインフレスライドが2件、単品スライドが1件だった。
県では、22年10月以降資材単価を毎月改定して物価上昇に対応しており、単品スライドを活用しなくても資材の費用上昇分をカバーできていることから請求数が減少したとみている。
全体スライドは、比較的経営規模の大きい企業が工事を受注していることが前提であり、受注者負担が残工事費の1・5%と条件が厳しいことから、事業者に活用されづらいのが現状だ。
スライド条項は、工事の契約締結後に賃金水準や物価水準が変動し、変動した金額が一定割合を超えた場合に契約金額の変更を請求できる制度。対象は全ての工事または工期が12カ月を超える工事で、残工事期間が2カ月以上あることが条件。
インフレスライドと全体スライドは、受発注者間で協議した基準日以降の残工事期間の工事費に関し、資材や労務単価の変動を反映することができる。単品スライドでは、部分払いを行った出来形部分を除き、対象となる資材に関して工期内全てで上乗せできる。
直近では、22年度に発注した「一級河川矢上川地下調節池トンネル本体T期工事」でインフレスライドを実施。当初契約額169億9500万円を、23年度に174億0910万9300円に、24年度6月補正予算で185億6307万9700円に再度変更した。
提供:建通新聞社