県が管理している国道504号(北薩横断道路)の北薩トンネル内で、路面変状や土砂流入などの被災があったため、国土技術政策総合研究所や土木研究所、九州地方整備局の専門家がきょう30日、現地調査を行う。現在、さつま泊野ICから高尾野IC間で全面通行止めを25日午後2時から行っており、当面続くと思われる。
被災箇所は出水市側坑口から約1900mの地点。25日の時点では舗装の浮き上がり(約50m)を確認し通行止めを実施。その後、26日に覆工コンクリートが6〜7m剥落し27日になると、土砂が大量に流入し一部しか見通せない状況となった。
トンネル内の湧水には、自然由来のヒ素が含有しており、出水市側トンネル坑口近くに設置している排水機場(処理能力400t/h)で処理し排水。
今回、北薩地域の大雨等により湧水量が増加したこともあり、処理機が一時的に停止する時間帯もあったが現在は適切に処理を行っている。25日に採取した湧水を検査した結果、農業用水としての基準は下回っていた。
同トンネルは、紫尾山を貫く延長4850mの山岳トンネル。出水市側1800m地点から100m区間で、高濃度のヒ素を含む地下水が湧出し、環境への影響が懸念されたため、減水対策工「山岳トンネルにおける大量湧水を減水するRPG工法」を実施。
特長は、ダムのグラウチング技術に基づいた設計・計画・施工管理・改良効果の確認等を体系化し、亀裂性岩盤を対象に極超微粒子セメントを使用した日本初の施工方法となった。
構造は、大土被りおよび高水圧下でのトンネル構造の安全性を確保するため、トンネル壁面より3.6mの隔壁をとり、その外側に厚さ3mのリング状の改良ゾーンを構築し課題を解決した。