神奈川県文化スポーツ観光局は、老朽化した神奈川県立県民ホールを建て替える場合の施設案を明らかにした。現状よりも座席数をやや増やす理想的な施設整備の案など3パターンを設定。概算建設費は最大で486億円と試算した。今後は調査の結果を基に検討を進め、県民ホールが休館する2025年3月末までには建て替えや大規模修繕などの方向性をまとめる考えだ。
県は県民ホールを建て替える場合の予備調査を23年度に実施。イベントの動員規模によるホールのすみ分けの他、バリアフリー対応や多様な展示が可能なギャラリーの必要性などが挙げられた。
県民ホールは最大2493人収容可能な大ホールと定員433人の小ホールがあるが、1000人程度が来場する中規模のイベントでも大ホールを利用しているため、2000人以上を動員する大規模のイベントとの競合が発生している状況だ。
施設案では、高さ制限31b以内で建設できる設計とした。理想的な施設整備のパターンでは、座席数2200席の大ホールと1000席の中ホールを設け、ギャラリーを5部屋整備する。延べ床面積は約3万4100平方bで、概算建設費は486億円。
理想案と最低限の案の中間に位置する案では、大ホールを2000席、中ホールを1000席とし、ギャラリーは3部屋に縮小する。延べ床面積は2万9500平方bで、概算建設費は420億円。
最低限の施設整備を行うパターンでは、1000席の中ホールのみを設ける。延べ床面積は1万1800平方bで、概算建設費は168億円。県では、最低限の施設整備案では「県民ホールが持つ文化振興の役割が果たせないのではないか」という認識を持っている。
大規模改修を行った場合の概算費用は312億円。大規模改修では、構造上バリアフリー化の不足が解消できないといった問題がある。リニューアルのコストを下げるため、PFIなどの民間活力の導入も引き続き検討する。
県民ホールは1975年に開館。設備が老朽化しており、建物の耐久性が低下する可能性も指摘されていた。予備調査はシアターワークショップ(東京都渋谷区)が担当した。
建物の規模は鉄骨鉄筋コンクリート造地下1階地上6階建て延べ2万8476平方b。所在地は横浜市中区山下町3ノ1。
提供:建通新聞社