2024年度北陸新幹線早期全線開業実現大阪大会が7月22日に大阪市内で開かれた。小浜・京都ルートでの敦賀・新大阪間の認可・着工を実現するため、早期に駅位置・詳細ルートを確定し公表することや、金沢・敦賀間の開業で敦賀駅で乗り換えが生じていることから北陸と関西間の利便性向上などを盛り込んだ大会決議を採択した。関係者ら約300人が参加した。
大阪府の吉村洋文知事は、3月16日に金沢・敦賀間が開業したことを受け、「沿線では大きなにぎわいが創出されていると聞いているが、北陸新幹線の効果を最大限発揮させるには大阪まで全線開業することが最も重要」と強調。全線開業により生まれる交流人口の増加や経済効果を訴えた。
また、2025年に開幕する大阪・関西万博や万博閉幕後の跡地のまちづくり、大阪IRの誘致などに触れ、「これから国内外から多くの人を大阪・関西に誘客しビジネスを広げ、都市の成長拠点を作っていくという観点からも、新大阪と北陸がつながることが重要だ」と述べ、一日も早い全線開業を改めて要望した。
〜事業推進調査に約14億、鉄道施設概略設計など継続〜
大会では、鉄道建設・運輸施設整備支援機構北陸新幹線建設局の田中健局長が、事業の進捗状況を報告。現時点で「環境影響評価の手続きのうち、『現地調査・予測・評価』を実施している段階」と説明した。
また、23年度から実施している施工上の課題を解決するための「北陸新幹線事業推進調査」で、本年度は用地関係調査や地質関係調査、受入地事前調査、鉄道施設概略設計、道路・河川管理者との事前協議を行う。調査費用として約14億円(前年度比16・2%増)を本年度政府当初予算に計上している。
このうち、鉄道施設概略設計について、京都駅では昨年度の概略設計成果・地質データを踏まえ、さらに設計を進める。新大阪駅でも盤ぶくれ対策とともに設計を継続する。
主催者側からは吉村知事の他、鳥井信吾大阪商工会議所会頭・大阪府商工会議所連合会会長、高橋徹大阪市副市長らが出席。来賓には中谷恭典大阪府議会議長やJR西日本の長谷川一明社長、北陸新幹線建設促進同盟会会長の杉本達治福井県知事らが招かれた。
〜費用や工期、関係者間で協議を〜
大会後の囲み取材に応じた吉村知事は、同日発生した保守用車両の衝突事故による東海道新幹線の運転見合わせを踏まえ、「(北陸新幹線の全線開業により)東海道新幹線が止まっても東京と大阪がつながることができる。東西二極の国家構造の観点や国土強靱(きょうじん)化の観点で、経済的にも災害にも強い日本につながる」との見解を示した。
一方、建設費や工期については国から詳細な報告を受けていないとした上で、「詳細なルート決定とそれに伴う費用や工期をきちんと出す必要がある。明らかになった段階で関係者間で協議しなければならない」とした。
※写真は建通新聞電子版に掲載中
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