滋賀県は、公共施設等社会資本整備・維持管理・更新の指針となる「国土強靭化地域計画」の改定を行う。
現在取り掛かっている、脆弱性評価(リスクシナリオおよび推進方針)の見直しを10月頃までに取りまとめ原案を作成し、12月県議会に報告する。その後、パブリックコメントを実施し、2月県議会に最終案の承認を求め、新計画策定へと進めていく。
改定後の有効計画期間は、25年度(令和7年度)〜29年度(令和11年度)までの5年間。
基本的な考え方として、▽人命の保護▽社会の重要な機能が致命的な障害を受けずに維持されること▽県民の財産及び公共施設に係る被害の最小化▽迅速な復旧復興―を目標に、大規模地震や風水害等を対象としたリスクマネジメントを図っていく。また、昨年7月に改定された国の国土強靭化基本計画の見直し内容等を反映し、必要不可欠な情報通信機能・サービスの確保や、制御不能な複合災害・二次災害を発生させない仕組みづくりにも取り掛かっていく方針だ。
関連して、県は過年度に国土強靭化対策による事業効果及び今後の見通しを公表している。それによると、18年(平成30年)〜22年(令和4年)の5年間で854億円を執行し、3か年緊急対策・5か年加速化対策による強靭化を着実に推進できたと評価、要整備案件が控えていることや老朽化インフラ施設が多くあることから、今後も全体的に安定的な予算措置を図る必要があるとした。
具体的に見ると、道路整備における代表例として三重県との県境道路である国道421号は、強靭化予算を活用し橋梁工事を2年前倒しで着手できたとした。これにより、供用についても2年前倒し可能となり、県民の早期整備完了の声に当初計画より早く対応できたと示した。県道全体では、整備率が低いことから激甚化・頻発化する災害への備えに不安が残っており、人・物流の円滑な移動を確保するといった観点からも、引き続き積極的に道路整備予算を確保し、インフラ整備を推進し信頼性の高い道路ネットワークを構築していく展望を示した。
法面・盛土の土砂災害防止対策は、738件の要対策箇所において予算活用できており対策集中工事が実施できているとした。しかし、5か年加速化対策後も674ヵ所の工事案件が残ることから災害発生時における信頼度の高い「命の道」の確保として、今後も予算措置を図っていく方針。
治水対策は、▽金勝川▽北川▽野洲川―など、県内全域の多数の河川整備を強力に実施できたとし、工事延長が3・9q/年から、6・2q/年と、1・6倍に向上。堤防強化対策は、▽姉川▽日野川▽祖父川―などにドレーン工を施すといった集中的な工事により、対策完了延長が17年(平成29年)に比べ、約1・6倍となった。
土砂災害対策は、期間中に完成した▽藤尾川▽中手川―の砂防事業、▽菅浦2地区▽大君ケ畑2地区―の急傾斜地崩壊対策事業などにより、対象保全家屋数が国土強靭化前の5年間約4600戸に対し、約1万1000戸と前比2・4倍となった。引き続き、砂防堰堤や崩壊土砂防止策等に設置に努めていく方針だ。
提供:滋賀産業新聞