京都市は19日、京北病院が果たす機能の在り方検討会(座長・山谷清志同志社大学大学院総合政策科学研究科教授)の初会合を開催した。
これまでの庁内ワーキングなどの議論を踏まえ、現状の病床構成の維持(A案)、地域の高齢化を踏まえた地域急性期への特化(B案)の2案をベースとして今後議論し、在り方方針案をまとめる。
検討会では、市の担当者が「ここで強調しておきたいのは、持続可能な機能の在り方を検討していくということであり、決して京北病院を廃止するというようなことで検討するものではありません。例えば一つの例として、京北地域の今の状況を踏まえて、遠隔医療などをこれから採り入れるなど、新しい病院の機能についても考える場にしていきたい」と述べた。
令和5年度の庁内ワーキングでは、調査結果を踏まえた検討パターンとして、コンサル会社が計4案を示した。主な内容をみると、A案は「現状の病床構成の維持・患者確保力強化、病床機能は急性期28床・地域急性期(回復期)10床の計38床」、B案は「地域の高齢化を踏まえた地域急性期への転換、病床機能は地域急性期(回復期)38床の計38床」、C案は「将来的な人口減少を見据えた病床規模の縮減、病床機能は有床診一般19床の計19床」、D案は「診療圏拡大による急性期機能充実、病床機能は急性期38床の計38床」。
庁内ワーキングでの議論では、C案(病床数の削減、有床診療所への転換)、D案(急性期機能の充実)は、京北地域のニーズや京北病院の実態に合っていないとし、令和6年度以降の議論では、A案(現状の病床構成の維持)、B案(地域の高齢化を踏まえた地域急性期への特化)をベースとして議論し、在り方方針案をまとめるとした。
外来機能・介護老人保健施設の在り方については、議論の結果、「在り方を検討するにあたっては、入所者の状況(医療依存度など)の調査・分析が必要」などとした。診療所(山国・宇津・細野・黒田)の在り方については、京北病院に通院してもらうための巡回バス、個別送迎サービス等の提供・強化、在宅医療の強化、遠隔診療の提供等ICTの利活用等の検討が必要とした。オンライン診療については、導入できるかどうか、課題を踏まえて実証実験が必要とした。
令和6年度の検討の方向性としては、今後の在り方について「現状患者が5719人(15・6人/日)のため、集患努力が必要」「入院患者の現状から、全床を地域急性期にすることが可能か患者像の精査が必要」「京北病院では、地域急性期の患者の単価が高くなっているため、全床を地域急性期にすることで、全体的には増収となる見込み」とし、6年度に在り方方針案をまとめた上で、7年度から在り方方針案について、京都市医療施設審議会に諮問し、答申に基づき方針を決定、在り方方針を踏まえた中期目標・中期計画を策定する予定。
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京都市立病院機構は、令和3年度に公募型プロポーザルで「京北病院が果たす機能の在り方の検討に係る調査等業務」について、システム環境研究所(大阪府吹田市)を選定し進めた。
また市は、令和6年度に公募型プロポで「京北病院が果たす機能の在り方方針策定等業務」について、同社を選定し進めている。