曙建設(長岡市干場2丁目17番9号 佐藤勝敏代表取締役社長)は18日、小千谷市で施工中の工事現場で、コベルコ建機が開発したシステム「K−DIVE」を活用して無人遠隔操作バックホウによる掘削・法面整形の実証実験を行った。
この日は、小千谷市塩殿地先「塩殿遊水地整備その4工事」の現場に発注者の北陸地方整備局のほか、コベルコ建機、廣瀬、日立建機日本、ダイワテックら約60人が見学に訪れた。実験では光回線の敷設困難など通信インフラの条件が厳しい同現場で、遠隔操作ができるコックピットを車載型ソーラーシステムハウス内に搭載。作業の様子が映し出されるモニターやコントローラーが設置されたコックピットからバックホウを遠隔操作して掘削・法面整形の実証実験を行った。モーションシート(振動傾斜伝達シート)で実機に搭載したジャイロセンサーから振動・傾斜をコックピットにフィードバックされる仕組みで、遠隔作業者は作業負荷や機体の傾斜を感知し、安全作業が可能であることを確認。今後、改良点や工夫点を整理し標準施工につなげる。
K−DIVEは遠隔対応重機、コックピット、データプラットフォームを常時接続することで重機の遠隔操作に加え、ダッシュボードでオペレーターの操作履歴や遠隔重機データを可視化するシステム。深刻化する建設技能者の不足に対する多様な人材活用、現場生産性の向上、現場無人化による本質的な安全確保などが期待される。2023年度に近畿地方整備局管内の砂防工事で土砂掘削・積込・敷均し・法面整形等を遠隔操作で実施(検証)した事例がある。なお、北陸地方整備局管内では今回が初めてになるという。
車載型ソーラーシステムハウスは、ダイワテックからレンタルし、出入口をコックピットが入るように引き戸に改造。ワイドロングトラックに運んで下ろすだけの簡単設置で、工事現場の進ちょく状況等に応じて移動できる。ハウス上部にはソーラーパネルが搭載され、自然エネルギー活用により、CO2削減につなげる。ハウス内にはエアコンが搭載され、熱中症対策も期待できる。
曙建設の吉原靖広常務取締役は「本格的な無人遠離操作の施工が一般的となり、若い人達にも興味を持ってほしい。国土交通省をはじめ、建機メーカー、建設業界が一体となり、この技術を推進し、早期の標準施工につながることを期待している」と話す。