県内建設業において死亡労働災害が多発していることを踏まえて、県建設業協会(向井田岳会長)と建設業労働災害防止協会県支部(同支部長)は労働災害防止対策の強化を図っている。22日には協会役員や安全衛生委員会、建災防県支部の安全指導者らに対して、岩手労働局の粟村勝行局長がメッセージを発出。死亡労働災害に歯止めを掛けるため、業界の自主的な取り組みを後押しした。
粟村局長からのメッセージは、22日の建協理事会に先立ち発出された。あいさつの中で向井田会長は、高齢化や若年労働者の減少に伴い、労働災害の発生リスクが高まっているとした上で、多発する死亡労働災害に対する憂慮を示した。その上で「安全な作業環境を確保するため、適切な安全衛生管理と安全教育の一層の推進が重要になる」と、さらなる安全衛生活動の推進を呼び掛け。建協安全衛生委員会の菅原陽一委員長は「経営者自らが安全衛生管理活動の点検をした上で、安全への強い思いを労働者に対して明確に伝えていくことが必要だ」と述べた。
岩手労働局労働基準部の加藤大介部長が、労働災害防止に向けた両団体の取り組みに感謝を示しながら、粟村局長のメッセージを読み上げ。本年の労働災害発生状況や死亡労働災害の事例を挙げながら「発生原因は調査中であるが、現場作業における安全管理が十分でなかったこと、安全作業に係る基本的な事項が守られていなかったことなどが見受けられる」と指摘した。
その上で「作業に応じたリスクアセスメントを実施し、労働災害の防止を図ることが重要だ」と述べ、同日の会議を契機に死亡労働災害に歯止めが掛けられることへの期待を示した。メッセージの発出後には、同安全衛生課の漉磯寿課長が講演し、三大災害の防止や熱中症予防対策など労働災害防止のポイントを説明した。
24年の建設業における死亡労働災害は6月末現在で4人と、23年の年間死亡者数3人を上回っている。工種別では土木工事が3人、建築工事の鉄骨・鉄筋家屋が1人。監督署別で見ると、花巻が2人、釜石と二戸が各1人。事故の型別では、墜落・転落、交通事故(道路)、飛来・落下、はさまれ・巻き込まれが各1人。
死亡労働災害の多発に伴い、両団体では安全パトロールや安全教育の強化、経営者による安全衛生管理活動のチェックなどに取り組んでいる。岩手労働局では業界サイドの自主的な取り組みをバックアップする目的から、局長のメッセージを発出した。
提供:日刊岩手建設工業新聞