名古屋市観光文化交流局は7月17日、市民会館の改築(新たな劇場の整備・運営)に向けた基本計画(素案)を有識者で構成する検討懇談会で示した。事業期間15年のPFI方式を選択肢の一つとして考えているようだ。基本計画は今後、議会報告やパブリックコメントコメント手続きを経て、11月末ごろに策定する考え。計画策定後、事業者公募資料の作成を進めるとしているため、2026年ごろに事業者選定手続きを行うスケジュールが見込まれる。
新たな劇場は、古沢公園・市民会館エリアに第1・第2ホール、アスナル金山エリアの商業・業務複合施設内に第3ホールを配置する。
第1ホールは2000〜2200席と、現大ホールと同水準を維持。第2ホールは1300〜1500席で、現中ホール(1146席)の席数の少なさを改善する。
現大・中ホールの花道は継承しつつ、狭い座席幅やトイレ不足、エレベーター・バリアフリー対応、地下鉄騒音・ホール間の音の干渉といった課題を解消する計画とした。
搬出入動線は、新たな劇場の1階部分は共通ロビー、にぎわい・交流スペースとするため、11dウイングルーフトラックに対応した大型エレベーターを設置して縦動線化する方針。
また、西側道路の東雲東古渡町線(幅員15b)は、ウオーカブル空間のシンボル軸になるため、搬出入車両の出入口や来館車両の出入口を配置しないよう検討するとした。古沢公園駐車場の出入口は移設を含めて検討する。
新設する第3ホールは800〜900席。ホール不足解消を図るとともに、駅前複合施設という立地特性を生かし、多目的な演目に対応、ステージ・客席を一体的に演出(スタンディング対応)可能な空間とする。舞台は可変形式とし、面積は間口15b、奥行15b程度とした。
第3ホールは複合施設上層階での整備が想定されるため、搬出入動線では第1・第2ホールと同様、大型エレベーター設置を盛り込んでいる。
管理運営計画では、15年程度をひとつのサイクルとして考える視点を提示。開館前のプレ期をはじめ、周知・普及期、定着・育成期、成長・発展期に分けて文化芸術を発信していくとした。古沢公園・市民会館エリアとアスナル金山エリアは、開業時期が異なるのを前提としている。
運営は、維持管理、舞台芸術、貸館、自主事業を指定管理者が行う形態を軸に検討を進めるとした。両エリアを一体的に運営できる組織体制について、今後詳細な検討を進めるとしている。
検討懇談会では、管理運営について、第1〜第3ホールを一体として行っていきたいと同局は有識者に対して回答した。
既存の市民会館の規模は鉄骨鉄筋コンクリート造地下2階地上6階建て延べ2万8245平方b。フォレストホール(大ホール)とビレッジホール(中ホール)、リハーサル室などを備える。所在地は中区金山1ノ5ノ1。
提供:建通新聞社