国土交通省近畿地方整備局と建設産業専門団体連合会(建専連)、建設産業専門団体近畿地区連合会(近畿建専連)など建専連会員団体との意見交換会が7月10日、大阪市内で開かれた。団体側は、6月に成立した「第3次担い手3法」を基に、地方自治体や民間の工事でも「労務費の基準」が担保されるよう、強固なチェック体制を整備することなどを求めた。
建専連としては全産業平均並みに処遇を改善し、将来的には欧米並みの賃金を目指していくとして、労務費の基準が担保されるチェック体制の整備を要望。建設業者らへの立入調査などで「低価格競争から質の競争へ」と、意識の変化を含めた指導を求めた。
近畿地整側は、担い手の確保・育成を困難にしているダンピングを排除するため、改正建設業法では、受発注者双方に著しく低い労務費などによる見積もりの提出・変更などを禁止していることを説明。民間企業に対するモニタリング調査や建設Gメンの実地調査、説明会などを通じ、法改正の趣旨を広く伝え、適正な請負代金や工期の設定について周知・徹底を図ることを確認した。
この他、共通テーマとして市場の実態に即した工事価格の積算、調査基準価格や最低制限価格の厳格な運用、建設キャリアアップシステム(CCUS)による各種システムの統一的運用、独自テーマとして働き方改革の公共工事と民間工事の進展ギャップ、基幹技能者の活用を挙げ、意見を交わした。
建専連の岩田正吾会長は「国の政策と現実の契約金額のギャップに不安の声が多く聞かれる」とした上で、「仕事量の繁閑に左右されない請負価格の安定が必要不可欠。CCUSを活用し、技能レベル別の最低年収の策定、週休二日制の推進などに取り組む」と述べ、引き続きの支援を求めた。
近畿建専連の山本正憲会長は「われわれの財産である職人が不足している」と危機感を示し、法改正による標準労務費の作成について「担い手確保に向け、官民が協力してルールを構築してほしい」と期待を込めた。
近畿地整の長谷川朋弘局長は「国がリーダーシップを発揮して、建設業団体や民間発注者に引き続き働きかける」と述べた。
※写真は建通新聞電子版に掲載中
提供:建通新聞社