県測量設計業協会(田口敬芳会長)は、県内各広域振興局に対して、公共事業予算の確保や県内企業への積極的な発注拡大などを要望。雇用確保と技術力向上を通じて自然災害への適切な対応を図るためにも、地元企業の受注機会拡大と受注の偏在化解消の必要性を訴えた。
9日には田口会長をはじめとする協会役員が盛岡広域振興局を訪問し、田口会長から小野寺宏和局長に対して要望書を手交。「公共事業予算の確保」「県内建設関連企業への積極的発注拡大」「働き方改革と担い手確保」「ICT等新技術を活用した生産性向上」「橋梁補修・耐震補強設計の積算基準」「災害の積算基準」の6テーマに沿って要望した。
県内企業への発注拡大の中では、簡易総合評価落札方式の見直しなどについて問題提起。「設計金額500万円以上の業務でも技術的工夫の余地が少ない簡易な業務では、価格競争方式による入札を検討すること」「業務実績を得る機会の少ない企業のため、チャレンジ型入札制度の創設」「県内企業における地域内での本店の有無に差を付けない制度の検討」「同一開札日で同一公所から発注される同種業務について、同一企業の重複落札がないよう、先抜け方式や一括審査方式の導入」などを提言するとともに、柔軟な制度運用を呼び掛けた。
働き方改革と担い手確保に向けては、労働環境の改善に向けた最低制限価格の引き上げを要請。ICTを活用した生産性の向上では、ICT活用予定工事における測量調査・設計業務では三次元設計を推進することなどを求めた。
入札制度について振興局側からは、各種制度導入の背景や国などおける状況などについて述べるとともに「業界からの意見を聞きながら、新たな入札方式の創出も含めて必要な検討を行っていく」と回答。より良い制度の確立に向け、意見交換と検討を進めていく考えを示した。
ICT活用について、土木部の戸来竹佐部長は「3月には県土整備部BIM/CIM適用業務実施要領を改正し、調査・測量・設計の段階から三次元測量設計データを作成するなど、BIM/CIM適用業務を推進していく」と答え、県内においてi―Constructionの普及拡大を図っていくと述べた。
田口会長は、受注の偏在に対する懸念を示すとともに「制度に関する課題について本庁と意見交換をしていくが、振興局からも現場の声として課題を挙げてほしい。より良いインフラを後世に残せるよう、受発注者がワンチームとなって取り組みたい」と呼び掛けた。小野寺局長は、土木部が主催する体験学習会への協力や災害対応に対する感謝の意を示しながら、災害の激甚化に対する危機感を表し「社会資本の整備と維持を図っていく必要がある。地域の守り手である業界とともに、安全・安心な県民生活の確保に努めたい」と、官民連携の必要性を強調した。
提供:日刊岩手建設工業新聞