能代市総合政策課は、能代ロケット実験場と連携した水素ラボ構想の実現に向け、企業ニーズの調査を秋田大学と早稲田大学に依頼する方針。両大学とJAXA(宇宙航空研究開発機構)、同市は先月19日にプロジェクトチームを発足。両大学に依頼することで構想実現に向けてフレキシブルな対応や、複数の企業が参入できるようにする。構想計画は年度内に策定。計画内容にもよるが、7年度は高圧水素設備増設に向けた実施設計などを進める方針。
水素ラボ構想は、JAXAの能代ロケット実験場内にある液体水素貯蔵タンクから発生するボイルオフガスを回収・再利用し、水素関連ベンチャー企業などに提供することで関係人口の創出に繋げるもの。
構想は2つあり、構想1では、ボイルオフガスを高圧化し燃料として再利用できるよう、高圧水素設備(再加圧・貯蔵・充填設備)を市が整備。市内に拠点設備を設置することで水素関連企業の誘致につなげる。企業ニーズ調査をもとに実現可能性を検討、年度内に構想計画を策定。構想1は早期実現を目指し、設備増設に向けた実施設計を7年度に委託する方針。
構想2では構想1を実現することで、大手企業だけではなくベンチャーや中小企業も参画できるよう、水素関連の開発・実証を行うラボを建設する。アカデミーも兼ね、JAXAや大学と連携して水素に関する専門教育の場を設け、人材育成に繋げていく。ラボの建設には民間資金の活用も想定している。
構想の実現に向け、同市では企業版ふるさと納税(目標金額15億円)を先月26日に開始。また、構想に関連し、第3回水素社会構築に向けた液体水素利用シンポジウムが今月19日と20日、JAXA主催で開催(会場:能代ロケット実験場、能代山本広域交流センター)される。
JAXAは能代ロケット実験場を水素研究の場として民間にも開放、シンポジウムでは実験場利用を計画している団体を対象とした個別の見学・相談会も行われる予定。このほか、液体水素の実証設備を能代ロケット実験場より南側の土地に整備する計画(7年度操業開始)もあり、施設建設に向けて準備を進めている。
提供:秋田建設工業新聞社