トップページお知らせ >地方ニュース

お知らせ

地方ニュース

建通新聞社(神奈川)
2024/07/08

【神奈川】東京商工リサーチ 建設業倒産は16%減少

 東京商工リサーチ横浜支店がまとめた神奈川県企業倒産状況によると、2024年上半期(1〜6月)の県内建設業の倒産件数は55件で16・7%減少した。全業種の倒産件数は267件の5・1%増加と状況は悪化しているが、建設業は逆行して落ち着いた動きで推移する。一方、同社がまとめた23年の新設法人数によると、建設業は前年度比23%増と全10業種で最も高い伸びを示し、業況の改善を裏付けする数値も見られる。同社では「2024年問題の影響を見極める必要があるが、値上げや工期の調整が進み、潮目が変化している可能性がある」と話す。
 上半期の倒産件数を業種別に見ると、前年同期に比べて増加したのは製造業(45・5%増)、情報通信業(33・3%増)、サービス業(28・2%増)、小売業(13・8%増)。減少したのは、運輸業(55・6%減)、不動産業(30%減)に次いで建設業だった。
 倒産企業の負債額は、5億円以上が15件、1億円以上5億円未満が57件、5000万円以上1億円未満が70件、5000万円未満が125件だった。建設業の倒産に伴う負債総額は51億0500万円で、前年同期比で2%減少した。
 倒産の要因は、販売不振115件、累積赤字105件、他社倒産の余波23件。地域別の倒産件数は横浜市118件、川崎市49件、相模原市18件、藤沢市11件、横須賀市9件、平塚市9件となっている。

建設業、運輸業で新規法人が増加

 東京商工リサーチのまとめによると、23年の県内新設法人数は前年度比12%増の1万0154社。全10業種中、最も伸びたのが建設業(23%増、1435社)、次いで運輸業(19・3%、241社)だった。両業種では、倒産件数が大きく減少する傍ら、新設する企業が増えていることが分かる。
 建設業と運輸業といえば、4月から時間外労働の上限規制が適用され、2024年問題が懸念される2業種だが、逆に業界活性化の動きが見られることには、意外感がある。これについて、同社では「人手不足や値上げせざるを得ない状況が認識され、無理に仕事を受けなくなったことが業況の改善につながっているようだ。もともと仕事はあった業種なので、意欲のある人が独立するケースも出ている」と状況を分析する。
 一方、全国の調査では、24年上半期の建設業の倒産は20・6%の増と、厳しい状況は続いており、県内建設業の動きが一過性のものなのか、地域特有の傾向として持続するか、注視する必要がある。

提供:建通新聞社