大阪市は7月4日、2024年度入札契約制度改善検討委員会を開き、工事・コンサル契約などの不落リスクを軽減するため、最低制限価格の基となるランダム係数の設定範囲を10月1日以降の開札案件から見直すことを決めた。この他にも、国土交通省の基準に合わせ、コンサル契約の最低制限価格、調査基準価格の算定方法を変更することに加え、監理技術者の途中交代を認める条件を追加することなどを承認した。
現行の制度では、国基準による最低制限価格基礎額に、無作為に選んだ係数(ランダム係数)を乗じた価格を最低制限価格としている。ランダム係数は、99・5%から101%までの1・5%の幅で設定されているが、上限(101%)付近になった場合に入札者全員が最低制限価格未満、不落となるケースが発生。22年10月以降の開札で入札者全員が最低制限価格未満となったのは55件あったという。
こうした入札の不落を防止するため、工事、コンサル、業務委託契約に関する最低制限価格設定基準を改正。従来の算定方式で算出された額を超える有効な入札が無く、算出された額が基礎額以上で、その額から基礎額までの範囲内に入札があった場合は、この範囲内で最も高い入札の価格を上限として、基礎額にランダム係数を乗じた価格を最低制限価格とする。
コンサル契約については、最低制限価格などの範囲・算定式を改正。同じく10月1日以降に開札する案件から適用する。4月15日に改正された国土交通省「予算決算及び会計令第85条」の基準に合わせた形だ。
最低制限価格などの範囲を、建設・補償コンサル業務で「予定価格算出基礎額×0・6〜0・8×無作為係数」から「基礎額×0・6〜0・81×無作為係数」に修正。算定式は、土木建設コンサル業務で一般管理費に乗じる定数を0・48から0・5、補償コンサル業務で同定数を0・45から0・5、測量業務で諸経費に乗じる定数を0・48から0・5、地質調査業務で同定数を0・48から0・5にいずれも引き上げる。
〜監理技術者等の途中交代の条件も追加、9月1日公告分から〜
「監理技術者等の配置に関する事務取扱要領」も改正する。監理技術者の途中交代を認める条件として「一部完成期限を設けている部分の引き渡しが完了するなど、交代が合理的と認められる場合」を追加する。また、交代時期は「工程上一定の区切りと認められる時点」とし、工事の継続性、品質確保などに支障がないと認められる場合に限定するなどの条件を新たに設ける。
国土交通省の定める「管理技術者制度運用マニュアル」の改正を踏まえ、働き方改革、建設現場の環境改善などの促進、建設業への入職促進・定着の観点から、監理技術者などが合理的な範囲で柔軟に交代できるようにすることが狙いだ。9月1日以降の公告案件から適用する。
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提供:建通新聞社