東北地方整備局福島河川国道事務所は、阿武隈川上流遊水地群整備に伴い付け替える鈴川に新設する鈴川橋(仮称)の下部工に着手する。遊水地本体工事の準備工となるもの。8月の入札公告を予定しており、3町村にまたがる約350haの治水施設を整備する大規模プロジェクトが今年度いよいよ工事段階に入る。
遊水地群整備では、整備予定地を通る県道須賀川矢吹線などを付け替えるとともに、阿武隈川のバックウォーターによる氾濫防止対策として、支川の鈴川(鏡石町)、泉郷川(玉川村)、阿由里川(矢吹町)を改修する。このうち、鈴川は阿武隈川合流部付近の区間が遊水地整備予定地を流れているため、阿武隈川の下流側に遊水地堤防に沿う形で付け替える。
鈴川橋は、鈴川の新区間に架かる県道須賀川矢吹線の橋梁として整備する。橋長42.5mのPC単純ポストテンションバルブT桁橋。下部工工事は橋台工2基、仮設工で、工期約6カ月、概算工事規模1〜2億円を見込んでいる。
遊水地群整備は、阿武隈川緊急治水対策プロジェクトの主要メニューで、鏡石町の阿武隈川左岸に第1遊水地(130ha)、玉川村の右岸に第2(120ha)、矢吹町の左岸に第3(100ha)を整備し、洪水調節容量1500〜2000万㎥を確保する。
各遊水地は、阿武隈川に面する囲繞(いぎょう)堤の上流側を越流堤とし下流側に排水門を1基ずつ設置。遊水地背後地の内水を遊水地内に受け入れる流入樋門は第1、第3に各1基、第2に2基設ける。成竜橋は橋長253m、玉城橋は橋長135mで架け替える。
調査・設計と並行して、2022年度から用地協議を進めており、取得率(面積ベース)は2月末時点で21.9%。
(提供:福島建設工業新聞社)