県電業協会(太田喜直会長)は、会員企業を対象とした23年の働き方に関する調査結果をまとめた。技術職の週平均労働時間は40〜41時間程度で、技能職は37〜39時間程度。週平均の時間外労働時間は技術職・技能職ともに4〜6時間程度であることが分かった。同協会会員企業の従業員はおおむね4週8休を目標に労務管理されており、休日労働があった場合には振替休日や代休などで対応するよう努めていることが見て取れる。
この調査は、23年1〜3月を「第1四半期」として、以降は10〜12月の「第4四半期」までの各四半期ごとに、技術職、技能職、事務職、営業職の「週平均労働時間(時間/週)」「週平均時間外労働時間(時間/週)」「月平均休日労働時間(日/週)」「平均有休取得日数(日/3カ月)」について、20社をサンプル抽出して調査した。
〈週平均労働時間〉
週平均労働時間を見ると、技術職は第1四半期が40・09時間、第2四半期が40・85時間、第3四半期が41・35時間、第4四半期が40・89時間。技能職は第1四半期が38・51時間、第2四半期が39・08時間、第3四半期が36・84時間、第4四半期が38・53時間。
事務職は第2四半期が最も短く32・81時間、第3四半期が最も長く37・63時間。営業職は第4四半期の38・91時間が最も短く、第2四半期の41・49時間が最も長かった。
同協会では「企業として4週7休や4週8休への取り組みが普及していると見られる」と分析する。全体的に技術職の労働時間が技能職より1時間ほど長い傾向にあり、第3四半期では4時間以上長いが、技術職は現場での工事終了後に、書類作成などに時間を要するためと思われる。
〈週平均時間外労働時間〉
週平均の時間外労働時間は、技術職は第1四半期4・92時間、第2四半期3・58時間、第3四半期4・31時間、第4四半期5・94時間。技能職は第1四半期5・25時間、第2四半期3・59時間、第3四半期5・13時間、第4四半期5・97時間と、技術職と比較して、技能職の時間外労働が長い傾向にある。
工事現場は依然として4週6休から4週7休が多いことや、現場までの移動時間のために早出・残業が生じていることなどが影響している可能性もある。加えて現場で施工に当たる技能職は工期に合わせての時間外労働が必要になるが、技術職は複数現場を掛け持ちしていることから、週平均の労働時間は長いものの、時間外労働の上限規制を意識した働き方になっていると見られる。
〈月平均休日労働時間〉
月平均の休日労働時間は技術職、技能職ともに2〜4日間。休日労働時間が多かったのは、技術職では第2四半期の3・65日と第4四半期の3・37日、技能職では第4四半期の3・50日。事務職・営業職はともに1日未満だった。技術職と技能職の休日労働時間の長さはおおむね近い数字が出ているが、第2四半期は技術職が技能職を大きく上回っており、同協会では「民間投資の現場における停電作業等が関係しているとみられる」としている。
〈平均有給休暇取得日数〉
平均有給休暇取得日数を見ると、全職種ともに年5日以上は取得できている。技能職では第1四半期と第4四半期、営業職では第3四半期に取得日数が多い傾向にあり、年末年始休暇やお盆休暇に合わせての有給休暇取得が進んでいるともみられる。
同協会の千田新一専務理事は「元請けのデータを持っていないため確証はないが、当協会の会員企業は4週8休と、年間有休休暇5日以上を目標に労務管理に努めていることがうかがえた」と総括。「ライフラインに携わる業種であるため、停電作業などの休日業務があることが、月平均休日労働時間から見て取れる。もっとも週平均労働時間がほぼ40時間であることから、振替休日や代休で対応していると考えられ、会員企業は企業努力により働き方改革に上手に対応しているとみられる」とする。
24年度も引き続き定点観測を行い、時間外労働の罰則付き上限規制がどのように効果を発揮するか、23年度との比較をしながら見ていく考え。
提供:日刊岩手建設工業新聞