建設業労働災害防止協会千葉県支部京葉分会は7日、市川市内の京葉建設会館において「2024年度全国安全週間実施要領説明会」を開き、会員30人が出席。船橋労働基準監督署の塩田康夫署長からのあいさつをはじめ、加藤護・安全衛生課長が「全国安全週間実施要領及び労働災害の発生状況」について説明。特別講演では、大塚製薬且都圏第一支店千葉出張所の石原勉・熱中症予防指導員を講師に招き、「2024年 熱中症対策」をテーマに話を聴いた。全国安全週間は「人命尊重」を基本理念として1928年から実施され、一度も中断することなく今回で97回目を数える。本年度のスローガンは『危険に気付くあなたの目 そして摘み取る危険の芽 みんなで築く職場の安全』。6月1日から30日までを準備期間とし、7月1日から7日までを本週間として展開する。
7月1日からの本週間へ
説明会に先立ち、主催者を代表して京葉分会の山分会長は、安全週間を契機に「日頃から実施している安全施行サイクル等の安全衛生活動の再徹底を図るとともに、死亡災害の中で高い割合を占める『墜落・転落災害』『建設機械・クレーン等災害』『倒壊・崩壊災害』の三大災害の撲滅に重点を置き、さらなる災害防止対策の積極的な取り組みをお願いする」と要請。
猛暑化が進む昨今では「作業現場での熱中症対策が是が非でも必要である」と強調。熱中症予防指導員を講師に迎えた特別講演について「専門的な見地からのアドバイスを各々の職場で活用して頂きたい」とし「職場でのさらなる安全衛生環境の整備が進むことを祈念する」と述べ、あいさつとした。
災害事例が物語る法律順守の大切さ
船橋労働基準監督署の塩田署長は、本年の管内における建設業の災害発生傾向について言及。近年の労働災害は高年齢者の人が多いことに加えて、災害の型としては、建設業に限らず「転倒」と重い物を持った時などによる「腰痛」が増えていることを指摘した。これらを踏まえて「労働行政としては『エイジフレンドリー』という言葉を使ってガイドラインを示しているので、それに添った対応をお願いしたい」と要請した。
また、労働災害に対しては「ひとたび発生すると、被災者自身の痛みはもとより、家族や会社の関係者の労苦に加えて、どれほどの莫大な社会的損失をもたらすかは言うまでもない」と訴えるとともに「労働安全衛生法を守っていれば、ほとんどの災害は起きていないということも、災害の事例は物語っている」と主張した。
さらに「災害が起こらないように、起きた場合は再発を防止するためにも規制しなければならないという見地から、法律が出来上がっていると言っても過言ではない」との見解を示し「災害が起きるたびに増えていく、あるいは改正されていくというのが実態である」と言明。「私からは是非、これらの法律をみなさんに守って頂きたいというのがお願いである」とした。
隠れたキーワード リスクアセス実施
一方で塩田署長は、これらの法律が「『人の血によって創り上げられたもの』と言う人もいる」との奥深さを訴えかけるとともに「是非とも現場では、一つひとつを噛みしめながら守って頂きたい」と改めて呼びかけた。
今年の安全スローガンである『危険に気付くあなたの目 そして摘み取る危険の芽 みんなで築く職場の安全』については、その中に「『リスクアセスメントをしましょう』ということが、目に見えないキーワードとして組み込まれている」と分析。「リスクアセスメントの実施をはじめ、自主的な労働災害防止を推進するためにも、本日の説明会を自分たちの現場に当てはめ、それにより日頃の安全管理活動の見直し、引き続き安全点検や安全教育を実施することなどにより、安全水準の一層の向上に努めて頂きたい」と熱く語りかけ、あいさつとした。
【「2024年 熱中症対策」特別講演から】
〈熱中症が起こりやすい環境と熱中症を引き起こす可能性〉
〇環境=気温が高い/湿度が高い/風が弱い/日差しが強い/閉め切った室内/エアコンがない/急に暑くなった日/熱波の襲来
〇カラダ=高齢者・乳幼児・肥満/カラダに障害がある人/持病(糖尿病・心臓病・精神疾患等)/低栄養状態/脱水状態(下痢・インフルエンザ等)/体調不良(二日酔い・寝不足等)
〇行動=激しい運動/慣れない運動/長時間の屋外活動/水分補給がしにくい活動
〈熱中症対策のポイント〉(熱中症の正確な知識・対策を身に付けて熱中症ゼロを目指す)
〇熱中症のしくみや症状を正しく知ろう
〇熱中症になりやすい人は注意
〇日常から体調管理を心掛けよう
〇水分・電解質(イオン)をこまめに補給しよう
〇熱中症になった人には、素早く的確に対処しよう
〇年齢や環境に応じた熱中症対策を
〇春ごろからカラダを暑さに慣れさせよう(暑熱順化)
〇暑さを避けられない場合は、活動前に深部体温を下げよう