達増拓也県知事は19日、久慈市の久慈建設会館を訪れ、洋野町で発生した豚熱の防疫措置に尽力してきた県建設業協会久慈支部(岩瀬張敏行支部長)の会員に対し、謝意を表した。岩瀬張支部長は、支部会員の総力を結集し、地域の守り手として防疫対応に当たったことを伝えた。支部会員による本格的な防疫対応は、同日に防護服などを埋却し、おおむね完了を迎えた。
岩瀬張支部長は「豚熱の対応は初めての経験で、戸惑ったことも多かったが、事故なく
無事に作業を進めることができた。掘削場所によっては、水が出るといった課題があった。試掘調査など、事前の備えが重要だと感じた」と述べた。さらに、支部会員企業が対応に当たったことを広く周知するよう、県側に求めた。
達増知事は「支部の皆さんには大きなご貢献をいただき、県として改めて御礼申し上げる。初めて経験する大規模な豚熱の防疫措置であり、大きな規模の埋却作業になった。当初、相当の時間を要することが懸念されていたが、想定よりも早く作業が終わるペースでご対応いただいた。今回の対応を好事例として、他の地域の参考にしていく」との考えを表明。
その上で、「地域の担い手を確保するためにも、建設業がいかに地域のために貢献しているのかを、県からも発信しなければならない。災害対策や防疫措置などを含め、広く発信したい」と述べた。
県では、同町の養豚場で豚熱の患畜が確認されたことを受けて、5月28日午後8時に豚熱対策本部を設置。これに伴い、現地での殺処分が始まった。支部会員らは28日に現地確認・立ち会い、各種手配などを行い、29日夕方から埋却溝の掘削などを進めてきた。
主な重機として、掘削用のバックホウ(コンマ7)4台のほか、運搬・埋却用のクレーン付きバックホウ4台、フレコンバッグに豚を投入するための殺処分地配備用のバックホウ2台(コンマ25)、フォークリフト2台、キャリアダンプ2台、タイヤショベル2台、4トンユニック車2台などを用い、作業に当たった。
支部会員39社が総力を挙げて対応し、延べ約1200人(概算)が現場作業に従事した。当初は3交代制で対応し、その後、2交代制に移行。24時間体制で防疫作業に当たった。19日に防護服などの埋却を行い、支部会員としての本格的な防疫対応はおおむね完了を迎えた。
現地作業に当たっては、騒音対策をはじめとする周辺環境に配慮したほか、作業員らの熱中症対策にも万全を期した。
支部会員が掘削した埋却溝は全7レーンで、総延長は約330メートル。埋却溝の規模としては、天端の幅が12メートル、底面の幅が4メートル。埋却溝の計画上の深さは4メートルほど。概算での掘削土量は、約3万6000立方メートル。
岩瀬張支部長は「外里淳一、晴山一吉両副支部長に現場の陣頭指揮を取ってもらった。会員企業の多くの皆さんにご協力いただき、感謝している。24時間対応で大変だったと思うが、一致団結できた。今後の災害などに備え、協会・支部の体制の維持が一層重要だ」と話していた。
提供:日刊岩手建設工業新聞