京都府の6月議会の代表質問(1日目)が13日行われた。
土地利用や企業立地の取組について、西脇隆俊知事が答弁し「日銀が4月に発表した全国企業短期経済観測調査(短観)では、大企業製造業の令和6年度の設備投資額は前年度比8・5%増とバブル期以来の高い水準を見込むなど、企業の投資意欲が非常に高く、府内に投資を呼び込む好機と認識をしている。一方で、昨年9月の定例会において、現在、府域全体で立地可能な産業用地が減少しており、今後の誘致活動に向けては新たな産業用地の確保が大きな課題となっている。日本立地センターの調査でも全国の分譲可能な産業用地面積はこの20年ほどで約45%減少しているという結果が出ており、全国的にも産業用地の不足が課題となる中、国においては農地転用や開発許可等の土地利用転換手続きの迅速化に取り組んでいる。企業立地にあたっては、まずまちづくりの主体である市町村がその地域の持つポテンシャルや環境、社会的ニーズをしっかり捉えた上で、まちづくりに向けたビジョンを描き、土地利用計画を立てることが基本となる。府としては、広域的な視点で農業用地や森林の保全と産業用地の確保のバランスを最適化する役割を担っていることから、市町村の考え方を尊重しつつ、新名神高速道路等の都市基盤整備の進展に合わせ、都市計画の見直しによる農地や山林などの産業用地への転換や、旧関西電力宮津エネルギー研究所跡地への産業集積に向けた再整備をサポートするため、企業誘致推進協議会を開催するなど、地域の持続的な発展に向けて、様々な取り組みを進めている。今後とも市町村や関係機関との連携のもと、農業用地等の保全と産業用地確保の最適化を図りながら、企業誘致を通じて京都府域へ企業や人を呼び込み、地域経済の活性化に向けて取り組んでいきたいと考えている」と答弁。「次に大手半導体企業誘致の取組について、産業の米ともいわれている半導体は、デジタル社会が進展する中で、交通や情報ネットワークなどの社会基盤を支えるとともに、スマホや家電など身近な分野でも活用され、重要性が一層高まっている。国においても経済安全保障上極めて重要な物資として位置づけ、令和3年6月に半導体デジタル産業戦略を策定するとともに、その翌年には経済安全保障推進法を成立させ、半導体を特定重要物資に指定するなど、国主導で半導体関連企業の国内への誘致促進や次世代半導体の製造技術の研究開発・実証等に取り組んでいる。大規模な半導体工場を立地するには極めて広大な敷地に加えて、電力や水等の供給インフラに大きな余力がある地域が前提となるが、熊本県ではこうした条件を満たし、県独自の取組に加えて国の補助制度を最大限に活用することで今回の誘致に至ったと認識をしている。一方、京都には省エネパワー半導体材料であるシリコンカーバイドの研究を先導された世界的権威である京都大学の松波弘之名誉教授をはじめ、大学や研究機関に優れた人材が集積をしている。また先端半導体や関連する電子部品、洗浄装置などを製造する世界的企業と優れた科学技術を有する中小企業とが協業する幅広い産業群が形成されており、新たな価値創造ができる基盤が十分に整っていると考えている。京都府においては、こうした企業のさらなる拠点の新設や増設を支援するとともに、半導体産業をはじめとする府内外の様々なものづくり企業などによる成長分野へのチャレンジや半導体産業への参入を応援するため、今年3月に京都半導体産業振興フォーラムを開催した。今後とも京都の強みを生かし、半導体産業をはじめとした成長が見込まれる産業分野において、多様な企業の立地を推進するとともに、オープンイノベーションの創出を図ることで、京都経済の発展につなげていきたいと考えている」と述べた。
伏見区及び周辺地域における賑わいづくりに向けた施設整備について、西脇知事は「令和2年に地元関係者とともに設立した『川のみなとオアシス 水のまち 京都・伏見運営まちづくり協議会』において、令和4年に伏見の港を中心としたまちづくりビジョンとしてソフト・ハード両輪での取組方針を定めた。令和2年から協議会をはじめ、様々な団体が連携し、『ふしみなーとフェスタ』など地場産品の販売や飲食の提供などを行うイベントを開催し、毎回多くの来場者で賑わいを見せている。京都府では、こうした賑わいづくりを支えるハード整備について、まちづくりビジョンに基づき進めている。伏見みなと公園広場において、ステージの改修やキッチンカーが乗り入れ可能な舗装への改修、橋梁のバリアフリー化など、イベントで活用しやすい広場への再整備を進めている。また大阪・関西万博を契機とした淀川舟運の復活を見据え、新たな人流を伏見港周辺の地域全体への回遊につなげるため、京阪中書島駅から淀川舟運船着場への導線となる伏見港公園の園路整備について、6月定例会に予算を提案している。さらに、昨年8月に協議会と河川管理者である国が共同で作成し、国土交通省により登録された伏見地区かわまちづくり計画に基づき、現在、国において、中型船就航に向けた親水護岸の整備などが進められた。今後とも地元の商店街や企業、関係行政機関などと連携を図り、伏見港及び周辺地域の賑わいづくりにつながる施設整備を推進していきたいと考えてる」と述べた。