県、成田国際空港、空港周辺9市町(成田市、富里市、香取市、山武市、栄町、神崎町、多古町、芝山町、横芝光町)、国土交通省による「成田空港に関する四者意見交換会」が17日、県庁本庁舎5階大会議室で行われた。閉会後、熊谷俊人知事、田村明比古・成田国際空港代表取締役社長、小泉一成・成田市長が記者団の取材に応じた。熊谷知事は「アジアや世界の空港に負けない成田空港をつくっていくためには、空港周辺のまちづくりも含め、国策・国家的プロジェクトとして政府が主導的な役割を果たしていく必要がある。成田空港をつくってきた経緯も踏まえ、国に責任があるということを強く訴えていきたい」と強調した。
政府に対して「航空物流拠点であることを生かした空港周辺における産業拠点の形成が、わが国の経済安全保障上きわめて重要だが、明確に戦略として位置付けられていない」と指摘。県の立場として「政府がよりコミットしていかなければならない部分について、しっかりと伝えていきたい」との考えを示した。
会議では、全9回にわたって検討が行われてきた「新しい成田空港」構想について、月内の最終的なとりまとめに向けて目指すべき方向を共有し、意見交換を実施。
また、県は、年内に改訂する成田空港周辺の地域づくりに関する「実施プラン」に関し、2020年3月の策定後の空港を取り巻く環境の変化に応じて見直しを進めていることに伴い、進捗状況を説明した。
構想については、最終とりまとめの後、国に提出・提案する予定。
実施プランの計画期間は32年度まで。改訂により、基本的な考え方を「『地域と空港を支える人材の確保』と『空港を生かした産業の発展』を起点とする地域づくり」に見直す。
冒頭、田村代表取締役社長は「新しい成田空港」構想について「とりまとめの方向性が出てきたため、皆さまに説明させていただき、忌憚のない意見を賜りたい」と求めた上で、「最終的なとりまとめの後は、実現に向けて国に対して働き掛けを行い、県、周辺市町の皆さまと緊密に連携して取り組んでいきたい」との方針を示した。
閉会後、熊谷知事は「空港周辺市町に住んでいる方々が成田空港とともに歩んでいこうと思っていただけるような具体的なまちづくりや、空港周辺でしかできない産業拠点形成をしっかりと進めていくという思いを共有できる会議だった」と評価した。
また、小泉市長は空港周辺のまちづくりについて「空港で増大する雇用の受け皿となる土地区画整理事業や職住近接のためのアクセス整備などに、県や空港会社と情報を共有しながら取り組んでいきたい」と話した。具体的な施策として「新たな道路の新設、東関東自動車道のインターチェンジの設置など、インフラ整備に取り組んでいる」と紹介。
オンラインで参加した平岡成哲・航空局長は、構想の実現や4者の連携強化に向けて役割を果たしていくとの考えを示した。