「県土整備部における不適正事案に係る検討会議」の第3回県土整備専門部会(部会長=安田博延弁護士)が11日、県庁本庁舎1階多目的ホールで開かれた。県の一般競争入札の割合が全国的に見て低いことを踏まえ、委員からは「事務負担増加などの課題はあるが、一般競争入札は高い競争性が期待できることから、増やしていく方法を試行すべき」などの意見が上がった。また、過去3年間において調査基準価格などと同額または1万円以内の差で入札された案件が563件(入札業者数308業者)に上ったことを受け、積算の精度を高めることができた要因を把握するためのヒアリングを実施し、次回の会議で結果を報告する予定。
池口正晃・県土整備部長は冒頭、「収賄の疑いで逮捕・起訴された職員2人については、懲役1年6か月、執行猶予3年の有罪判決が言い渡された後、懲戒免職処分がなされた。また、私自身を含め、当時の上司3人に対し、監督責任として戒告処分が下された」と報告。
県民に対して陳謝した上で「二度とこのような不祥事を起こさないよう、真に実効性のある再発防止策の策定に向けて議論を深めていただきたい」と求めた。
有罪となった2人は、出先事務所と本庁の課で設計書などをやりとりするために利用されていた県土整備部の共有サーバーから、情報(予定価格、金額入りの設計書、簡易型総合評価方式において施工計画の評価基準となる提案例)を盗み取った。
これを受け、委員からは「機密性の高い情報について、業務に関係のない職員が閲覧できないよう適正な管理を行うとともに、その運営状況をチェックしていく仕組みをつくっていくことが重要」「情報漏洩リスクを低減する観点から、秘匿を要する情報への職員の関与をなるべく少なくすべき」「他県で導入されている、調査基準価格を開札時にシステムで算出する方法など、情報作成への職員の関与をなるべく少なくすることについて検討すべき」などの指摘があった。
なお、一般競争入札適用の下限額について、県では2007年度に2億円から5000万円に引き下げて以降、見直しを行っていない。
一般競争入札は、透明性、公平性、客観性、高い競争性の確保が期待できる一方で、受発注者双方に事務負担が生じるといった課題もあることから「一般競争入札の実施件数が多い都道府県における課題や事務負担軽減の工夫などについてさらに調査を行い、一般競争入札を増やしていく上での留意点に十分に配慮すべき」との要請があった。