県は10日、シラス(火山ガラス微粉末・VGP)を用いた低炭素型コンクリートでモデル工事を実施することを、県議会総合政策建設委員会で明らかにした。主な内容は、セメント置換率50%以上で、対象構造物はコンクリート2次製品など。東京大学や鹿児島大学に指導助言を求め、調達上の課題等を検証する。
VGPは、シラスから乾式比重選別(電力)で粉砕。3月にJIS(日本産業規格)に追加された。従来の製品と比べると、製造時の温室効果ガス排出量を約93%削減できる。
主な効果は、VGPの混和材の使用で塩化物の浸透抑制効果があり、鉄筋の腐食防止や耐久性向上が見込まれる。骨材の採取については、自然環境に及ぼす影響が大きく、骨材の安定的な調達推進から、結晶質(JIS適合砂)を海砂などの代替骨材に活用。
南九州に広く分布するシラスは、県外からの材料調達に比べ、運搬距離が短く、運輸部門における二酸化炭素排出量の削減も期待される。
モデル工事の目的は、社会資本整備に伴って発生する二酸化炭素排出量を削減する対策として、セメントの一部分を排出量の少ない混和材に置き換えた低炭素型コンクリートの利用が考えられる。
2020年に開発されたVGPは、製造での二酸化炭素排出量(約60kg/t)が石灰石脱炭酸起源のポルトランドセメント(約807kg/t)に比べ大幅に少ない。
このため、VGPを用いた低炭素型コンクリート(ポルトランドセメントの置換率を50%以上使用)モデル工事を実施し、セメント業界や大学等と連携して脱炭素化に向けた取り組みを促進する。