守山市は、供用開始後50年以上が経過する立入水源地の耐震化を計画している。22年度(令和4年度)の耐震診断、23年度(令和5年度)の整備方針検討に続き、24年度(令和6年度)からは基本設計業務を進める予定で、6月補正予算案に委託料1億0980万円を盛り込んでいる。予算案の承認後に委託する基本設計で耐震化にあたっての土質調査および揚水試験を行い、必要な設備の規模や配置を検討するため基本計画を策定することにしている。
立入水源地(守山市立入町)は敷地面積3444平方b(立入水源地2530平方b+新立入水源地914平方b)。主な施設は▽管理棟=RC造2階建(1967年築造/2007年度耐震補強)▽浄水池=RC造(W17・8b×L17・8b×H3b)容量666立方b(1967年築造)▽配水池=鋼製(D16〜20・5b×H12・95b)容量3000立方b(1994年築造)▽浄水棟=RC造2階建、容量442立方b(2003年築造)▽新立入水源地・電気室=RC造平屋建(2003年築造)―。
給水エリアは概ねJR琵琶湖線より南東側。給水人口は約1万1000人(約4400世帯)。市の貴重な自己水源である立入水源地は、破損などにより貯水機能が損なわれることがあってはならない必要不可欠な施設であることから、22年度に配水池、管理棟、浄水棟、電気室の詳細な耐震診断を実施した。その結果、配水池および浄水棟の一部に耐震性が確保されていないことが確認された。23年度の検討業務では診断結果を基に、市民生活に影響を及ぼさない整備手法を取りまとめ、経済性・確実性を考慮した、最適となる整備方針案を選定した。
適切な整備手法ならびに規模を検討していくために、前提条件として現施設の補強実現性の検討、建設位置の選定、水源地の取水可能水量を整理した。
耐震化手法の一つである現況施設を直接補強する案の実現可能性について、その補強内容と施工の確実性について検討を行ったが、配水池および浄水棟ともに運用を継続しながら確実に補強することは困難であることから、新施設の建設による耐震化を採用することとした。また、管理棟についても、耐震性は有するものの耐用年数50年を超え、老朽化が進んでいることから、新設することが考えられている。
新施設を建設するにあたり、現在の位置での建設か他の地域へ移転することが望ましいかについて、必要な設備や費用、確実性について比較検討を行ったが、他の地域での新施設建設は費用の増加や新たな導水管の布設、市内管路網の再構築が必要なことなど現実的ではないことから、現位置での建設を採用することとした。(2面に続く) 1面続報― 施設規模の検討に先立ち、現位置での取水可能水量について、既存認可資料等を活用し取水能力を算出するとともに、管網解析システムによる市域全域の配水圧力への影響を分析した結果、市内の配水圧力が安定した状態に保てる水源地の計画1日最大取水量は7000立方b/日から8700立方b/日までの範囲となり、この範囲内での規模検討を行っていくこととした。
これら前提条件を踏まえ、立入水源地に一部県水を受水する1つの案、現状同様に自己水のみで運用を行う3つの案についての比較検討を行い、取水可能水量の範囲内で市全体のコストを抑制する最適な整備方針案を選定した結果、高額な県受水費を削減できる整備案のうち、現況より規模を拡大した施設建設を採用したいと考えられている。自己水取水を可能な限り増量しているためコストが安価であり、災害時の県水停止等への対応についても、リスクの軽減を最も図ることができる。
更新設備は配水池・浄水棟・管理棟・ポンプ施設・取水井(5井)。1日最大配水量は8700立方b/日(上限値)。建設費は25億3800万円。施設整備費は最も大きくなるが、県水受水費が減るため、最も経済性に優れる。新設井戸は水質・水量ともに揚水試験を行い影響について確認が必要であるが、既設井戸からの取水は現状問題がないことから、新設井戸についても同様の水量・水質が想定される。
6月補正にて提案している基本設計・井戸調査等の経費が承認されれば、9月から25年度(令和7年度)に基本設計・井戸調査等を実施する。26年度(令和8年度)から27年度(令和9年度)に詳細設計を実施。28年度(令和10年度)以降に建設工事着手が見込まれている。これまでのところ建設工事のスケジュールは示されないが、基本設計の中で具体的な工事の工程を検討していく。
耐震診断・整備方針検討はエフウォーターマネジメント湖南事務所(栗東市)が担当。
提供:滋賀産業新聞