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建通新聞社四国
2024/06/11

【愛媛】愛媛県 紫電改展示館コスト縮減で設計修正 

 国内で唯一現存する旧日本海軍の紫電改を展示している「紫電改展示館」のリニューアルに向けた愛媛県の整備検討委員会の第5回会合が松山市であり、建物実施設計の修正や周辺の外構計画などを議論した。基本設計を基に算出した事業費が大幅に当初見込み額を超過したため見直しを進めていた。その中で県は展示館の規模や高さを設計者選定時より縮小し、展望テラスを断念するなどの修正を行ったと説明するとともに、施設を2025〜26年度に整備し、26年度中のリニューアルオープンを目指す考えを示した。
 事業費の大幅超過の要因は建設資材の高騰に加え、紫電改実機が想定以上に傷んでいるため、移設にもコストがかかることなどによる。県によると、設計の修正に当たっては展示室や多目的室など必要な施設やコンセプトは維持したまま検討。構造(鉄筋コンクリート一部木造)部分は変更しないものの、延べ床面積を790平方bから651平方bへ約2割縮減、高さについても11・3bから8・65bに低減し、建物全体の大きさを約80%まで縮小する計画に変更したとした。
 また実機を引き上げた久良湾を臨むガラス面については、過去観測された最大風速に耐えられるよう設計したため、その対策に費用がかかる計画となっていたことから、格子を増やしガラスを薄くするなど、コスト縮減に努める工夫を行った。さらにガラス面の外側に計画していた展望テラスを崖上で強風などが予測されることから、利用者の安全も考え中止することにした。この結果、外構工事を除く建物の建設費は約5・4億円(設計者選定時は約3億8300万円)になるとした。
 当日は設計を担当した遠藤克彦建築研究所(東京都中央区)が周辺外構計画案も紹介した。これによると、現展示館解体跡地に車寄せも備えた駐車場を新設し、既設駐車場と合わせバス3台、普通乗用車27台の駐車スペースを確保する。また新設駐車場と新展示館の間にアプローチを設け、丘上に建つ新展示館との高低差を大階段やスロープでつなぐ動線を確保し、植栽なども施す。中止した展望テラスについては新展示館北側に展望デッキを設け代替する。次回8月をめどに開く最終会合で決定する。
 事業は愛南町にある南レク第3号公園(馬瀬地区)の再編整備の一環で展示館を建て替える。県が新たに示したスケジュールによると、24年度は建屋工事の着手へ向けた造成工事と実機の移設のための調査、実機の補強などを進める。建屋新築工事は25年度に着手し、26年度の完成予定。完成後は既設を解体し、駐車場やアプローチなどに整備する。

提供:建通新聞社