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建設経済新聞社
2024/06/10

【京都】今後50年の更新需要費を試算 Water−PPP調査も予定 上下水道事業経営審に報告

 京田辺市は、上下水道事業経営審議会(第3回)を開催し、水需要量の見通しを報告するとともに、将来の更新需要の見通しを示した。
 2月開催の第2回経営審では、人口及び給水量の計画値が近年の動向と乖離していることや、実施時期の変更により投資額が計画値を下回っていることから、水需要予測及び更新需要の見直しを行うことが決定した。
 今回の第3回経営審の議題は、第2回の内容を踏まえた、将来の事業環境の見通しの報告。将来の事業環境として、水需要量、水源水量、更新需要、職員数を見通し、その結果をもとに今後の課題と審議会の進め方を協議した。
 水道事業の見通しについては、生活用水量は新型コロナウイルス感染症対策による影響で令和2年度に増加したものの、4年度には元の水準まで減少していることから、コロナが蔓延する以前の実績を用いて推計。その結果、令和11年度に最大値1万7311m3/日となり、その後は減少する見通しとなった。
 業務営業用水量は、令和4年度時点でコロナ禍以前の水準への回復が見られないことから、今後も同様の傾向が続くと判断し、過去10年間の実績で推計を行った。結果は、令和7年度に最大値4767m3/日となり、その後は一定となる見通しとなった。工場用水量は、令和4年度時点でコロナ禍以前の水準への回復が見られないことから、過去10年間の実績で推計を行った。
 推計の結果、工場用水量は令和26年度に2447m3/日まで緩やかに増加する見通しとなった。
 有収水量(料金収入のあった水量)は令和15年度に最大値2万4235m3/日となり、その後は減少傾向となる見通しとした。
 将来の一日最大給水量は、令和15年度に最大2万9292m3/日まで増加し、その後は緩やかに減少する見通し。水源水量については、井戸等の各水源の取水量を想定し、井戸の堀替え等を実施しない場合の水源の供給可能量を見通し、一日最大給水量に対する過不足を確認した。その結果、令和6年度以降に水源水量が不足する見通しとなった。一方、現時点で新設・更新を予定している井戸の供給可能量を加算し、一日最大給水量に対する過不足を確認すると、十分供給可能な水源水量を確保することが可能との見通しとなった。今後新設・更新すると想定した水源は、6年度に新設する井戸(6年供給開始)、田辺第2取水井(6年度更新、7年供給開始)、薮ノ本水源地(8年度更新、8年供給開始)。
 更新需要量については、市内に布設している管路361・8qのうち、法定耐用年数40年を超過した管路延長は69・1qで、全体の19%に相当する。構造物・設備と管路を合わせた今後50年間の更新需要は、法定耐用年数で更新した場合に964億円、更新周期(案)で更新した場合が644億円となる。更新周期(案)で更新する場合、構造物・設備の更新需要は185億円、管路の更新需要は459億円となる。いずれも更新需要は現行計画値と同じような傾向で発生し、物価上昇等の影響により、現行計画値と比較して1・4倍となっており、総費用は高くなっている。
 公共下水道事業の下水道有収水量は、家庭用、工場用、その他及び新規開発の用途別に算出。下水道有収水量は令和18年度に最大値2万9215m3/日となった後は減少傾向に転じる。家庭用の下水道有収水量は、水洗化人口に家庭用有収水量原単位を乗じて算出。人口のピークに等しく、令和12年度に最大値1万7710m3/日となった後は減少に転じる。工場用及びその他の下水道有収水量は、近年の実績値を横ばいの見込み。新規開発の下水道有収水量は、令和18年度に最大値4538m3/日となった後は一定としている。
 更新需要量について、管渠整備費は、新規整備及び改築更新に年1・3億円、開発に伴う工事費として令和7〜8年度の2ヵ年に1・5億円を見込む。委託費は、Water−PPP導入可能性調査費用として令和7年〜8年度2ヵ年に総額2500万円、ストックマネジメント点検調査・結果判定として令和7年度に2000万円、事業計画策定として、5年ごとに3000万円を見込んでいる。そのほか、ポンプ更新費用は20年サイクルで計上し、流域下水道建設負担費は年1億円を見込む。
 更新需要は今後50年間で約127・4億円、計画期間の令和11年度までで約19・4億円が見込まれている。農業集落排水事業の令和6年度以降事業費は、最適整備構想の対策工事費を計上し、更新需要は今後50年間で約6・5億円、計画期間の令和11年度までで約2億円が見込まれている。
 現行計画よりも増加する見込みである更新需要に対応するため、施設規模の適正化等による投資の効率化を図る必要がある。
 下水道有収水量は、当面は現行計画値よりも増える見込みで、令和18年度をピークに、以降は減少する見込みとなっているため、下水道使用料収入の減少が予想される。
 次回の第4回議会では、新ビジョンの骨格を作っていくため、全ての施策と財政の見通しを議論する。主に@施策の進捗状況の確認(各施策の進捗状況、現行ビジョン施策の見通しの要否)A財政の見通しについて(下水道有収水量予測と更新需要を踏まえた投資・財政計画、料金改定の要否)を議論する予定。
 今後のスケジュールは、8月の同審議会で財政の見通しとビジョンの施策を協議する。10月にビジョン及び経営戦略案の協議・確認をし、11月〜12月にパブリックコメントを実施する。7年1月及び3月に意見書と新旧対照表について議論する予定。